五行説(五行思想)とは? 色と季節・意味
七夕や鯉のぼりなど日本文化にも影響を与えた自然哲学
中国の自然哲学「五行説(ごぎょうせつ)」または「五行思想」について、日本の年中行事や慣習に与えた影響について簡単にまとめてみたい。
五行説とは、万物は「木・火・土・金・水」の5種類の元素からなるという自然哲学の思想。上の図は、五行説の各要素の関係を図式化したもの(出典:Wikipedia)。
五行説は陰陽説と融合しており、黒矢印の「相生(そうせい)」は、相手を生み出す陽の関係、白矢印の「相剋(そうこく)」は、相手を打ち消す陰の関係にある。
五行説と七夕の「五色の短冊」
五行説の各要素「木・火・土・金・水」には、下の図のようにそれぞれ色が当てはめられている。「木」は青の代わりに緑も使われる。「水」の黒は、日本では紫で代用されることが多い。
童謡・唱歌『たなばたさま』の歌詞では、「五色の短冊(ごしきのたんざく)」の「五色」というキーワードが出てくるが、これも五行説の五色に対応している。
七夕の行事は中国の「乞巧奠 きっこうでん」という行事に由来しており、この行事では五行説に基づく五色の布や糸が織姫星に捧げられる。
なお、こいのぼりの一番上に飾る5色の吹き流しも、この五行説の五色を表している。
麻雀の東南西北との関係も?
中国を起源とする麻雀(マージャン)では、東家(トンチャ)、南家(ナンチャ)、西家(シャーチャ)、北家(ペーチャ)と、4人が座るそれぞれの方向が「東南西北(とんなんしゃーぺい)」の順番に並んでいる。
この「東南西北」は、五行説における春夏秋冬に対応していることは上の図から明らかであり、中国発祥の麻雀も中国の五行説から影響を受けていることがわかる。
五行説の季節と北原白秋
五行説の各要素には色だけではなく季節も当てはめられており、上の図のように、春夏秋冬が「木・火・金・水」にそれぞれ対応している。「土」は「土用」につながる(後述)。
「金」には色の「白」と季節の「秋」が対応しており、合わせて「白秋」となるが、これは日本の詩人・童謡作家の北原白秋の雅号の由来になっている(本名は北原 隆吉)。
ちなみに、「木」には色の「青」と季節の「春」が対応しており、合わせて「青春」となり、文字通り青春の由来となっている。
土用の丑の日
夏にうなぎのかば焼きをたべる「土用の丑の日」(どようのうしのひ)があるが、この「土用」とは、五行説に対応する季節の一つで、「立夏・立秋・立冬・立春」の直前約18日間ずつを指している。
立秋直前の「夏の土用」のうち、十二支が丑の日が「土用の丑の日」となる。土用は18日間あるので、十二支の「丑」が2回まわってくる年もある。
五大・五輪について
五行説に似た自然哲学として「五大(五輪)」がある。五大とは、「地・水・火・風・空」の五つの要素が宇宙の万物を構成しているとする思想で、インド哲学に由来している。
仏教の一派である密教では五大を五輪(ごりん)と呼び、宮本武蔵が剣術の奥義を記した兵法書「五輪書」(ごりんのしょ)は、この「五輪」思想に基づいて構成されている。
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