弥生 やよい 3月 意味・由来・語源
春を迎える3月は、草木がますます生い茂る時期
日本の旧暦3月は「弥生(やよい)」。現代の暦でも3月の別名・異名として使われる。
「弥(や/いや)」は「いよいよ、ますます、前よりも一層」といった意味がある。かつては「彌生(いやおひ/いやおい)」と呼ばれていた。
春を迎える3月は、草木がますます生い茂る時期であることから、月の名前としての「弥生(やよい)」の語源は「弥や生ひ月(いやおひづき/いやおいづき)」に由来すると考えられている。
なお、旧暦は現代の暦と比べて1か月前後のズレがあり、旧暦3月は現在の3月下旬から5月上旬頃にあたる(年によって異なる)。
このページでは、3月の別名・異名「弥生(やよい)」に関連する興味深い事柄を簡単にまとめてみたい。
弥生の和歌
江戸時代、常陸水戸藩の第9代藩主・徳川 斉昭(とくがわ なりあき)は、「弥生(やよい)」について次のような和歌を詠んだ。
和歌の前書きである詞書(ことばがき)と合わせて次のとおり引用する。
<詞書>
ことし文政十余り一とせといふ年のやよいの十日さきみだるさくらがもとにかくはかきつくこそ
<和歌>
名にしおふ春に向ふが岡なれば世にたぐひなきはなの影かな
水戸藩の中屋敷にはこの和歌の歌碑が建てられており、明治政府がこの和歌に基づいて付近の町名を向ヶ丘弥生町とした。
向ヶ丘弥生町は、現在の東京都文京区弥生一丁目および弥生二丁目の町名の由来となっている。
弥生時代の名前の由来に
1884年(明治17年)3月2日、向ヶ岡弥生町の向ヶ岡貝塚で、貝や縄文土器とともに口縁を除いてほぼ完形の壺が出土した。
発見場所の地名から「弥生式土器」、1975年以降は「弥生土器」と呼ばれ、「弥生時代」の名称の由来となっている。
弥生会計の社名も3月由来
毎年2月下旬から3月中旬は所得税・消費税の確定申告シーズン。特に申告期限・締め切りが迫る3月上旬は、「弥生会計」や「やよいの青色申告」などの会計ソフトへの関心も高まる時期。
これらの弥生シリーズ会計ソフトを販売するのは、東京都千代田区に本社を置くソフトウェア開発会社の弥生株式会社。
その社名は、3月決算の企業が多い日本において、会計ソフトがフル稼働するのが3月 (弥生) であることに由来している。
もうひとつの意味合いとしては、「弥生」の時期に草木がますます生い茂るように、会社がますます繁栄するという縁起担ぎもあったのではないかと推測される。
弥(いや)と熟語
弥生の「弥」は、いや・いよいよ・や・あまね(し)・わた(る)・ひさ(しい)・つくろ(う)など様々な訓読みと意味合いがある。
ここでは、弥生の語源・由来と関連する「いや/いよ」などを使った主な熟語や慣用句などをご紹介したい。
いやさか(弥栄)
ますます栄えること。または、繁栄を祈って万歳(ばんざい)と叫ぶ声。
いやがうえにも(弥が上にも)
なおその上に。ますます。「嫌が上にも」は誤り。例:「ファインプレーの連続で、球場は弥が上にも盛り上がった。」
いよいよ(弥弥〉
ついに。とうとう。ますます。
よだつ(弥立つ)
「いよだつ」の音変化。例:「身の毛がよだつ」
弥生の歌は?
歌詞に「弥生(やよい)」が登場する日本の春の歌としては次の三つが有名。
さくらさくら
古くから伝わる日本の桜ソング。「やよいの空は 見わたす限り」として、「弥生」が歌詞に織り込まれている。
さくら さくら
やよいの空は 見わたす限り
かすみか雲か 匂いぞ出ずる
いざやいざや 見にゆかん
うれしいひなまつり
3月3日雛祭りを題材とした定番ソング。歌い出しは「あかりをつけましょ ぼんぼりに♪」。四番の歌詞で、「やよい(弥生)」というキーワードが登場する。
着物をきかえて 帯しめて
今日はわたしも はれ姿
春のやよいの このよき日
なによりうれしい ひなまつり<引用:サトウハチロー『うれしいひなまつり』四番の歌詞>
越天楽今様
「春のやよいの あけぼのに」が歌い出しの『越天楽今様』(えてんらく いまよう)は、雅楽(ががく)の名曲『越天楽』メロディに歌詞をつけた古い歌曲。歌詞の冒頭で「やよい(弥生)」が歌われる。
春のやよいの あけぼのに
四方(よも)の山べを 見わたせば
花盛りかも しら雲の
かからぬ峰こそ なかりけれ
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