まんまんちゃん あん! 意味・語源・由来
子供が仏壇やお墓を拝む際の不思議な言葉について
「まんまんちゃん あん!」は、 小さな子供が仏壇やお墓を拝む際に唱える幼児語。主に関西以西で使われる。
最後の「あん」は地方によって「あっ」や「あーん」になったり、お辞儀で頭を上げ下げする際に「あんあん」と2回繰り返されることもある。
この「まんまんちゃん あん!」の意味・語源・由来について、簡単にまとめてみた。
ちなみに、同じような意味合いで使われる「ののさま(様)」の意味・語源・由来についてはこちら。
語源は「南無阿弥陀仏」
山口大学人文学部教授・文学博士の添田建治郎氏による論説「日本語を学生と学ぶ(余滴)」では、まんまんちゃん(まんまんさん)の語源・由来について、次のように解説している。
仏菩薩の名号が「阿弥陀仏」である。浄土宗や浄土真宗では、その阿弥陀仏を本尊とし称名念仏の「南無阿弥陀仏」を唱える。<中略>この「南無阿弥陀仏様」を原形とする幼児語が「まんまんさん」である。
<引用:添田建治郎「日本語を学生と学ぶ(余滴)」より>
添田教授は、「まんまんちゃん(まんまんさん)」の語源が「南無阿弥陀仏様」であると結論を述べたうえで、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」という言葉の発音の変化についても説明している。
なんまいだ/なんまんだぶ
「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と何回も唱える場合、何度も連続して発音していくうちに、音の脱落や変化が起きやすい。
例えば、末尾の「つ」が脱落したり、「ま」行が「ん」に変化するなどして、「なむあみだぶ」、「なんまんだぶ」、「なんまいだぶ」のような発音が生じはじめる。
さらに末尾の「ぶ」すらも発音されなくなると、「なんまんだ」、「なんまいだ」といった形になっていく。
この「なんまんだ」の段階になると、幼児語「まんまんちゃん」と発音的にかなり近づいていることがよく分かる。
「まんまんちゃん」の語源は、この「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」が発音上変化した「なんまんだ」であることは想像に難くない。
ちなみに、「なむなむ」から変化した「なんなんさん」を使う地域もあるようだ。
のんのんちゃんとの関係は?
「まんまんちゃん」と同じような使われ方をする「のんのんちゃん(さん)」、「ののさま(様)」という言葉があるが、こちらは別の意味を持った古語「のの」を語源とする別の言葉。
「ののさま(様)」の意味・語源・由来についてはこちらのページで解説している。
「あん!」って何?
「まんまんちゃん あん!」の最後の掛け声「あん!」とは一体なんだろうか?
これについては、上述の添田教授による論説では直接触れられていなかった。
Weblio辞書「全国大阪弁普及協会」では、「まんまんちゃん(さん)」と同様に使われる例として、「あっとうさま」「とうでさま」「あったえさん」などを例示している。これは「あな尊し」という言葉に由来しているという。
「あな尊し」の「あな」は感動詞。「なんと尊いことか」といった感嘆を示す意味合いで使われる。
どうやらネットでは、この「あな尊し」が「あん!」の語源として説明されることが多いようだ。今のところこれ以上に信ぴょう性が高い解説が見られないので、とりあえずこの「あな尊し」説を仮説として立てておくが、今後の更なる検証が必要だろう。
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