聖者の行進(聖者が町にやってくる)歌詞の意味・和訳

ジャズ発祥の地ルイジアナ州ニューオリンズでは葬列マーチ

『聖者の行進(聖者が町にやってくる)』(When the Saints Go Marching In)は、スピリチュアル(黒人霊歌)に起源を発するゴスペル・ジャズナンバー。

ニューオーリンズ出身のジャズトランペット奏者ルイ・アームストロング(Louis Armstrong/1901-1971)による演奏が有名。

さまざまな歌詞が存在するが、このページで取り上げる歌詞では、新約聖書「ヨハネの黙示録(the Book of Revelation)」の内容が歌詞の随所に盛り込まれている。

ニューオーリンズのジャズ葬儀

写真:ニューオーリンズのジャズ葬儀(出典:Wikipedia)

ジャズ発祥の地ルイジアナ州ニューオリンズでは葬儀の際に用いられ、この慣習は「ジャズ葬儀(Jazz funeral)」、「セカンド・ライン (second line)」等と呼ばれる。

ジャズ葬儀(Jazz funeral)とは?

「ジャズ葬儀(Jazz funeral)」では、パレードは先頭を歩くファースト・ラインとその後につくセカンド・ラインとに分かれる。ファースト・ラインは、故人の遺族および関係者のみが参加し、重々しい曲を演奏しながら、葬儀場から墓地まで棺を運ぶ。

一方、セカンド・ラインは埋葬を終えた後の帰路のパレードで、ファースト・ラインとは対称的に賑やかな曲を演奏しながら、街を練り歩く。

ニューオーリンズのジャズ葬儀 Jazz funeral

写真:ニューオーリンズのジャズ葬儀(出典:Wikipedia)

遺族、関係者だけではなく、音楽に魅せられた通行人もパレードに加わる。彼らは、音楽に合わせて踊り、ハンカチを振り、色とりどりの傘を掲げてパレードを盛り上げる。

ファースト・ラインの重々しい演奏が故人を悼むためのものであるのに対し、セカンド・ラインの明るさには、魂が解放されて天国へ行くことを祝う意味が込められているとされる。セカンド・ライン・パレードへの参加者は、セカンド・ライナーズなどとも呼ばれる。

【YouTube】Louis Armstrong - When The Saints Go Marching In

歌詞の一例・日本語訳(意訳)

Oh, when the saints go marching in
Oh, when the saints go marching in
Lord, I want to be in that number
When the saints go marching in

おお 聖者達が行進して行く
おお 聖者達が行進して行く
主よ 私もあの列に加わりたい
聖者達が行進して行く

Oh, when the drums begin to bang
Oh, when the drums begin to bang
I want to be in that number
When the saints go marching in

おお ドラムがなり始める
おお ドラムがなり始める
私もあの列に加わりたい
聖者達が行進して行く

Oh, when the stars fall from the sky
Oh, when the stars fall from the sky
I want to be in that number
When the saints go marching in

おお 星たちが空から降ってくる
おお 星たちが空から降ってくる
私もあの列に加わりたい
聖者達が行進して行く

Oh, when the moon turns red with blood
Oh, when the moon turns red with blood
I want to be in that number
When the saints go marching in

おお 月が血で赤くなっていく
おお 月が血で赤くなっていく
私もあの列に加わりたい
聖者達が行進して行く

Oh, when the trumpet sounds its call
Oh, when the trumpet sounds its call
I want to be in that number
When the saints go marching in

おお トランペットが合図を鳴らす
おお トランペットが合図を鳴らす
私もあの列に加わりたい
聖者達が行進して行く

Oh, when the horsemen begin to ride
Oh, when the horsemen begin to ride
I want to be in that number
When the saints go marching in

おお 騎士たちが馬に乗り始める
おお 騎士たちが馬に乗り始める
私もあの列に加わりたい
聖者達が行進して行く

Oh, when the fire begins to blaze
Oh, when the fire begins to blaze
I want to be in that number
When the saints go marching in

炎が燃え立ち始める
炎が燃え立ち始める
私もあの列に加わりたい
聖者達が行進して行く

Oh, when the saints go marching in
Oh, when the saints go marching in
I want to be in that number
When the saints go marching in

おお 聖者達が行進して行く
おお 聖者達が行進して行く
私もあの列に加わりたい
聖者達が行進して行く

星と月について

星が空から降り、月が血で赤く染まるというくだりは、「ヨハネの黙示録」6章12節から13節に見られる。ウィキペディアより該当箇所の口語訳を次のとおり引用する。

小羊が第六の封印を解いた時、わたしが見ていると、大地震が起って、太陽は毛織の荒布のように黒くなり、月は全面、血のようになり、天の星は、いちじくのまだ青い実が大風に揺られて振り落されるように、地に落ちた。

四騎士とヨハネの黙示録

ヨハネの黙示録には「四騎士(Four Horsemen of the Apocalypse)」と呼ばれる4人のホースマン(馬乗り)が登場する。

「7つの目を持つ子羊」が7つの封印を解いていくと、白い馬、赤い馬、黒い馬、青ざめた馬に乗った4人のホースマンが順に現れ、世界に戦争や飢餓、死をもたらしていく。

ヨハネの黙示録の四騎士

写真:「黙示録の騎士」(出典:Wikipedia)

ちなみにこの「四騎士」は、2021年に公開された「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の世界観においても重要な要素となっており、「すべてのホースマンは揃った」とのゲンドウのセリフがこれを指している。

天使のラッパ

歌詞の「トランペットが合図を鳴らす」のくだりは、ヨハネの黙示録において、災害の前触れとなる7つのラッパを吹く7人の天使達を暗示している。

天使たちがラッパで合図を鳴らすと、それぞれ終末的な天変地異が発生する。例えば、第一のラッパでは次のとおり(ウィキペディアより口語訳を引用)。

第一の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、血のまじった雹と火とがあらわれて、地上に降ってきた。そして、地の三分の一が焼け、木の三分の一が焼け、また、すべての青草も焼けてしまった。

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