ロッホ・ローモンド 歌詞と解説
スコットランド民謡/一足先にスコットランドの土とならん!
『ロッホ・ローモンド』(ロック・ローモンド)は、スコットランド西南部のローモンド湖を歌ったスコットランド民謡。原題は『The Bonnie Banks O' Loch Lomond』など。
「ロッホ(loch)」とは、スコットランドの方言で「湖」を意味する。ロッホ・ローモンドとは、ローモンド湖(下写真)の意味になる。
ローモンド湖の東岸にある973mの山は、ベン・ローモンドと呼ばれ、ロッホ・ローモンドの2番の歌詞にも歌われている。
写真:ローモンド湖(出典:Wikipedia)
【YouTube】ロッホ・ローモンド Loch Lomond - Peter Hollens
歌詞の意味・日本語訳(意訳)
By yon bonnie banks
And by yon bonnie braes,
Where the sun shines bright
On Loch Lomond
Oh we twa ha'e pass'd
sae mony blithesome days,
On the bonnie, bonnie banks
O' Loch Lomond.
そこには美しき岸辺があり
そこには美しき丘が広がる
ローモンド湖に太陽の光輝く
過ぎ去りし陽気な日々
美しき岸辺 美しき丘 ローモンド湖
Chorus
Oh ye'll tak' the high road
An' I'll be in Scotland before ye',
But wae is my heart until we meet again
On the Bonnie, bonnie banks
O' Loch Lomond.
<コーラス>
君は高い道を行き 僕は低い道を行く
悲哀を胸に 再び会う日まで
美しき岸辺 美しき丘 ローモンド湖
ジャコバイトの反乱を歌った曲?
歌詞の解釈については諸説あるようだが、名誉革命後のスコットランドを中心とするカトリック勢力ジャコバイトの反乱において、イングランド軍に捕らえられたジャコバイト兵の悲哀を歌ったものとする説が有力に唱えられているようだ。
スコットランドのジャコバイトとは?
17世紀後半のイギリスでは、名誉革命によってカトリック教徒のジェームズ2世が退位し、プロテスタントのメアリー女王が即位していた。
しかし、スコットランドを中心とするカトリック勢力は、その後もジェームズ2世の血統に属するステュアート家の復興を目指していた。この勢力はジャコバイトと呼ばれる。
立ち上がるジェームズ2世の孫ボニー・チャーリー
名誉革命で王位を追われたジェームズ2世の孫ボニー・プリンス・チャーリーは、1745年にグレンフィナンで反乱の旗を揚げた。
同年9月には首都エディンバラを陥落させ、その後の戦いでも圧倒的な勝利を収めた。しかし、やがてイングランド軍の圧倒的兵力の前に退却を余儀なくされる。ついには1746年4月のカロドン・ミュアの戦いで、ボニー・プリンス・チャーリーは決定的な敗北を喫することとなった。
カロドン・ミュアの戦い(1746年/左の人々がジャコバイト/出典:Wikipedia)
君は高い道を行き 僕は低い道を行く
ジャコバイトの反乱を念頭に置いた上で、『ロッホローモンド』のコーラス部分の歌詞をよく見ると、興味深いフレーズがあることが分かる。
Oh ye'll tak' the high road, and I'll tak' the low road
君は高い道を行き 僕は低い道を行く
低い道を行くのがイングランド軍との戦いで亡くなったスコットランド兵の魂、高い道を行くのが生き残ったスコットランド兵士や国民を指していると解釈できないだろうか?
一説によれば、ケルト文化には、「故郷から離れた土地で亡くなった者には、妖精が魂を故郷まで案内する」という信仰があり、それがこのコーラス部分の「low road」に暗示されているという。
国家や宗派の誇りを守ろうと命懸けで戦った勇敢なるスコットランド兵。その熱い想いは、このスコットランド民謡『ロッホローモンド』とともに、これからも脈々と歌い継がれていくことだろう。
参考:ジャコバイトの反乱が関係する曲
- マイボニー My Bonnie Lies over the Ocean
- 『マイボニー』は、1962年にリリースされたトニー・シェリダン(Tony Sheridan)のアルバム『マイボニー』で現代風にアレンジされ、世界的に有名になったスコットランド民謡。
- ヘンデル作曲『見よ、勇者は帰る』
- ヘンデル作曲。運動会などの表彰式のBGMとしてよく知られている。
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