コサックはドナウを越えて

ウクライナ民謡

『コサックはドナウを越えて』(Їхав козак за Дунай/Ikhav Kozak za Dunaj)は、古くから伝わるウクライナ民謡

歌詞では、戦場に赴くコサック兵と残された彼女のつらい別れが描かれている。18世紀頃に活躍したウクライナの詩人による詩に基づいているという。

英語の曲名については、『The Cossacks Ride Over the Danube』、『The Cossack rode past the Danube』など若干の表記の揺れがあるようだ。

同曲のメロディはドイツやオーストリアなどのドイツ語圏で19世紀頃に流行し、ドイツ語の歌詞があてられ『美しいミンカ』として親しまれた。

ベートーヴェンやウェーバー、フンメルなどの作曲家たちは、この『美しいミンカ』のメロディを変奏曲の主題として用いている。

詳細は、ベートーヴェン『美しいミンカの主題による変奏曲』を参照されたい。

【YouTube】The Cossack rode past the Danube

歌詞の意味・訳詞

Їхав козак за Дунай,
Сказав: "Дівчино, прощай!
Ти, конику вороненький,
Неси та гуляй!"
"Постій, постій, козаче,
Твоя дівчина плаче,
Як ти ж мене покидаєш -
Тільки подумай!"

コサックはドナウを越えて
こう呼び掛けた「娘さん、さらばだ!
おい、黒毛の馬よ
俺を乗せ駆けろ、そして嘶け!」
「待って、待って、コサックよ
あなたの恋人は泣いている
私を見捨て還って来なかったら-
そのことだけを思い詰めて!」

Лучше було б, лучше було б не ходить,
Лучше було б, лучше було б не любить,
Лучше було б, лучше було б та й не знать,
Чим тепер, чим тепер забувать.
Лучше було б, лучше було б не ходить,
Лучше було б, лучше було б не любить,
Лучше було б, лучше було б та й не знать,
Чим тепер, чим тепер забувать.

行かなければ良かったのだろう
愛さなければ良かったのだろう
そして知り合わなければ良かったのだろう
今、お互いを忘れるときが来た
行かなければ良かったのだろう
愛さなければ良かったのだろう
そして知り合わなければ良かったのだろう
今、お互いを忘れるときが来た

<出典:赤軍合唱団Webサイト>

ヨーロッパで活躍したウクライナ・コサック

16世紀から17世紀にかけて、ウクライナ・コサックは神聖ローマ帝国やフランス王国の傭兵として、ヨーロッパでの戦争に活躍した。

上のヨーロッパ地図の赤い線がドナウ川。地図右上の「UKRAINE」がウクライナを示す。

ウクライナから神聖ローマ帝国やフランス王国へ向かうコサックをモチーフとして、『コサックはドナウを越えて』のシチュエーションが生まれたのだろう。

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