一番はじめは一の宮

わらべうた・手まり歌

『一番はじめは一の宮』は、明治時代から歌い継がれてきた手まり歌・お手玉歌・わらべうた。軍歌「抜刀隊」のメロディが転用されている。

わらべうた『一かけ二かけて』も『一番はじめは一の宮』と同じメロディで歌われるが、両曲の関係は不明。

信長貴富編曲による合唱曲『一番はじめは』としても歌われており、同氏による合唱組曲「7つの子ども歌」の一番最初の曲として所収されている。

歌詞は時代や地域によって部分的に変化が見られるが、日光東照宮(上写真)、金刀比羅宮(ことひらぐう)、善光寺、出雲大社、靖国神社など、日本各地の代表的な寺社仏閣が数え歌のように次々と登場する。

一宮(いちのみや)とは、各地域で最も社格の高い神社を意味し、例えば甲斐国(山梨県)の浅間神社、相模国(神奈川県)の寒川神社、信濃国(長野県)の諏訪大社、摂津国(大阪市)の住吉大社などが一宮とされている。

代表的な歌詞の一例

一番はじめは一の宮
二は日光東照宮
三は讃岐の金比羅さん 
四は信濃の善光寺
五つ出雲の大社(おおやしろ)
六つ村々鎮守様
七つ成田の不動様
八つ八幡の八幡宮
九つ高野の弘法さん
十は東京招魂社(注:現在の靖国神社)

これだけ心願かけたなら
浪子の病も治るだろう
ごうごうごうと鳴る汽車は
武男と浪子の別列車
二度と逢えない汽車の窓
鳴いて血を吐くほととぎす

【試聴】一番はじめは 無伴奏女声(同声)合唱

武男と浪子って誰? 小説「不如帰」

『一番はじめは一の宮』の後半の歌詞では、前半の寺社仏閣に関する流れとはまったく異なり、武男(たけお)と浪子(なみこ)という二人の人物が登場する。

この二人は、明治・大正時代の小説家・徳富蘆花(とくとみ ろか/1868-1927)の小説「不如帰」(ふじょき/ほととぎす)に登場する人物。

片岡浪子は海軍少尉・川島武男と結婚するが、肺結核を患っていたため、夫が遠洋航海中に姑により離縁されてしまい、悲嘆のうちに血をはいて亡くなってしまう。

同小説は明治31年(1898年)から翌年まで国民新聞に掲載され、のちに出版されてベストセラーとなった。戦前は盛んに映画化されたほか、現代ではテレビドラマや漫画化もされている。

徳富蘆花と芦花公園

ちなみに、文豪・徳富蘆花の旧宅「蘆花恒春園(ろかこうしゅんえん)」は、後に東京都世田谷区の都立公園となり、現在では芦花公園(ろかこうえん)として親しまれている。

関連ページ

一かけ二かけて
『一番はじめは一の宮』と同じメロディで歌われるわらべうた
有名なわらべうた
「あんたがたどこさ」、「はないちもんめ」、「おちゃらかほい」、「ずいずいずっころばし」など、日本の古いわらべうた
抜刀隊
西南戦争における警視庁抜刀隊の活躍を称えた行進曲。フランスのシャルル・ルルー作曲。