見上げてごらん夜の星を 坂本九

小さな星の 小さな光が ささやかな幸せを うたってる

『見上げてごらん夜の星を』は、1963年5月にリリースされた坂本九(さかもと きゅう)のシングル曲。作詞:永六輔、作曲:いずみたく。

元々は、1960年初演のミュージカル劇中主題歌であり、歌詞の内容もこのミュージカルのストーリーを反映したものになっている。

1963年11月に坂本九主演で映画化された(『高校三年生』が大ヒットした年)。

映画『見上げてごらん夜の星を』ポスター

写真:1963年11月公開の映画『見上げてごらん夜の星を』ポスター

このページでは、『見上げてごらん夜の星を』の歌詞の意味と直結する、ミュージカルのあらすじ・ストーリーを簡単にご紹介したい。

また、『見上げてごらん夜の星を』の有名なカバー曲として、平井堅とゆずのカバー盤についても簡単に言及する。

【試聴】坂本九 1963年

【試聴】 坂本九 1977年

昼は働き、夜は定時制高校に通う苦学生の歌

1960年初演のミュージカル『見上げてごらん夜の星を』は、永六輔・いずみたくが制作・公演した和製ミュージカルの先駆け的作品。そのストーリーは、初演当時の日本における集団就職の時代が背景となっている。

上野駅に到着した集団就職の若者たち

写真:上野駅に到着した集団就職の若者たち

戦後の高度経済成長期においては、製造業をはじめとして多くの若い働き手が求められていた。東京・上野駅には、集団就職のために地方から集まった若者たちが次々と到着し、その様子は1964年(昭和39年)の歌謡曲『あゝ上野駅』にも歌われた。

集団就職の若者たちは、昼間は企業で働きながら、夜は定時制高校(夜間学校)に通い勉学に励む者も多かった。ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』の主人公も、昼は働き、夜は定時制高校に通う、そんな苦学生の一人だった。

見上げてごらん夜の星を
小さな星の 小さな光が
ささやかな幸せを うたってる

見上げてごらん夜の星を
ボクらのように 名もない星が
ささやかな幸せを 祈ってる

<引用:『見上げてごらん夜の星を』歌詞より>

『見上げてごらん夜の星を』の「夜の星」とは、夜間学校で勉学に励む集団就職の若者たちを暗示するものであり、ささやかな幸せを求めて苦学に励む彼ら自身の姿が夜空の小さな星に投影されているのだろう。

二人なら 苦しくなんかないさ

定時制高校(夜間学校)は、昼間の高校(全日制高校)と同じ校舎と教室を使用する。ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』の主人公が夜間学校で使う机は、昼間の高校で女学生が使っている机だった。

ミュージカルCD『見上げてごらん夜の星を』

ジャケット写真:1963年のミュージカルCD『見上げてごらん夜の星を』

主人公の青年は、昼間に同じ机に座る女学生と机を介して文通を始め、やがて知り合う仲となる。将来への夢を持ち、悩み多き年頃の二人。主人公の青年は、彼女と手を取り合い、「見上げてごらん夜の星を」と歌い上げるのだった。

手をつなごう ボクと
おいかけよう 夢を
二人なら 苦しくなんかないさ

<引用:『見上げてごらん夜の星を』歌詞より>

平井堅のカバーについて

『見上げてごらん夜の星を』は多数のアーティストがカバーしているが、中でも特に有名と思われる平井堅とゆずのカバー盤について簡単にまとめてみたい。

まず、平井堅については、 2003年12月リリースのカバーアルバム「Ken's Bar」(ケンズ・バー)のなかで、同曲のカバーを収録している。

平井堅によるカバーでは、原曲の坂本九の音声も用いられており、坂本九との疑似的なデュエットが実現している。

PVでは、最新技術を用いて、坂本九の映像と平井堅の映像でのデュエットも実現し、同曲で出演した第54回NHK紅白歌合戦(2003年)でもこのデュエット映像が披露された。

ゆずのカバーについて

男性フォークデュオ「ゆず」による『見上げてごらん夜の星を』のカバーについては、2006年のライブ限定盤、2016年の日本生命CMソング盤の二つがある。

ジャケット写真:ゆずイロハ1997-2017『見上げてごらん夜の星を』収録

日本生命CMソング盤はCMやラジオ・音楽番組等で多数放送され、大晦日の第67回NHK紅白歌合戦にも同曲で出場した。

リリース3ヶ月前に熊本地震が発生(2016年4月14日)。カバー曲の印税は、大きな被害に見舞われた熊本市に全額寄付されたという。同年12月には熊本城二の丸広場で無料ライブを開催している。

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