いなかの四季 歌詞の意味

養蚕・田植え・稲刈り・年越し 四季折々の田舎の情景

「道をはさんで 畠一面に」が歌いだしの『いなかの四季(田舎の四季)』は、1910年(明治43年)発行の音楽教科書「尋常小学読本唱歌」に掲載された文部省唱歌。

歌詞では、日本の農家で行われる養蚕や田植え・稲刈り・年越しなど春夏秋冬の田舎(いなか)の風景が描写されている。

作詞者は、愛媛県出身の教員・堀沢周安(ほりさわ ちかやす)。愛媛県大洲市(おおずし)の旧制大洲中学校で教壇に立っていた縁から、市内の冨士山(とみすやま)公園には『いなかの四季』の歌碑が建立されている。

作曲者については不明だが、大阪の箏曲家・楯山登(たてやま・のぼる)とする説があるようだ。

写真:冨士山公園の『いなかの四季』歌碑(出典:歌碑を訪ねて西東)

【試聴】田舎の四季 歌:ダーク・ダックス

歌詞

道をはさんで 畠一面に
麦はほが出る 菜は花盛り
眠る蝶々 とび立つひばり
吹くや春風 たもとも軽く
あちらこちらに 桑つむおとめ
日まし日ましに 春蚕(はるこ)も太る

並ぶ菅笠(すげがさ) 涼しいこえで
歌いながらに 植行く早苗(さなえ)
永い夏の日 いつしか暮れて
植える手先に 月かげ動く
帰る道々 あと見かえれば
葉末(はずえ)葉末に 夜つゆが光る

二百十日(にひゃくとおか)も 事なくすんで
村の祭の 太鼓がひびく
稲は実がいる 日和(ひより)はつづく
刈ってひろげて 日に乾かして
もみに仕上げて 俵につめて
家内そろって 笑顔に笑顔

そだを火に焚(た)く いろりのそばで
夜はよもやま 話がはずむ
母がてぎわの 大根なます
これがいなかの 年越しざかな
たなの餅ひく ねずみの音も
ふけて軒端(のきば)に 雪降積(ふりつも)る

歌詞の意味・補足

春蚕(はるこ)とは、春から初夏にかけて飼う蚕(カイコ)。時期的に蚕の生育に適した気候で、良質の生糸(きいと)に仕上がる。昔の農家はみな屋根裏で養蚕をおこなっており、絹は農家にとって貴重な現金収入源だった。

早苗(さなえ)とは、小さな苗代(なわしろ、なえしろ)で育てられた稲の苗。この苗で田植えを行う。6月の季語。

二百十日(にひゃくとおか)とは、立春から数えて210日目、日付では9月1日頃を指す。台風など強風の災害が多い時期とされ、若い稲がこの自然災害を乗り切れるかどうかが農家の関心事となった。

そだ(粗朶)とは、薪などに用いるための切り取った木の枝の束。

よもやま(四方山)話とは、いろいろな話題の話、世間話のこと。

「たなの餅ひく」とは、ここではネズミが棚のモチをこっそり盗み食いすること。

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