雨(雨がふります 雨がふる)

日本の童謡・唱歌/作詞:北原白秋 作曲:弘田龍太郎

「雨がふります 雨がふる」が歌い出しの『雨(あめ)』は、作詞:北原白秋、作曲:弘田龍太郎による日本の童謡・唱歌。 1919年(大正8年)発表。

少し物悲しい曲調の「雨がふります 雨がふる」とは異なり、明るく「あめあめ ふれふれ」と雨を喜ぶ童謡『あめふり』があるが、どちらも作詞者は北原白秋。雨というテーマが楽しさと悲しさの両局面から巧みに描写されている。

【YouTube】雨(あめ)

歌詞『雨(あめ)』

雨がふります 雨がふる
遊びにゆきたし 傘はなし
紅緒(べにお)の木履(かっこ)も
緒(お)が切れた

雨がふります 雨がふる
いやでもお家で 遊びましょう
千代紙(ちよがみ)おりましょう
たたみましょう

雨がふります 雨がふる
けんけん小雉子(こきじ)が
今啼(な)いた
小雉子も寒かろ 寂しかろ

雨がふります 雨がふる
お人形寝かせど まだ止まぬ
お線香花火も みな焚(た)いた

雨がふります 雨がふる
昼もふるふる 夜もふる
雨がふります 雨がふる

歌詞の意味

「木履(かっこ)」とは「下駄(げた)」のこと。「かっこ」と読むのは幼児語で、「からころ」の音に由来している。

「紅緒(べにお)」は、下駄の赤い紐(ひも)を意味する。

ちなみに、北原白秋によるオリジナルの詩では「紅緒の木履」ではなく「紅緒のお下駄」となっている(メロディがつけられた際に修正された)。

「千代紙(ちよがみ)」は、和紙で作られた折り紙用の正方形の紙のこと。

「雉子(キジ)」は、昔ばなし『桃太郎』でイヌ・サルと共に桃太郎のお供になる鳥。「キジも鳴かずば、撃たれまいに」の逸話でも有名。

山寺の和尚さんとの類似点

一番の歌詞の「遊びにゆきたし 傘はなし」という表現は、童謡『山寺の和尚さん』の「毬はけりたし 毬はなし」という歌詞をほうふつとさせる。

三番の歌詞の「けんけん小雉子」のキジは、『げんげんばらばら』など日本のわらべうたでよく登場する鳥だが、『山寺の和尚さん』も古いわらべうたを元にしており、北原白秋『雨』では日本のわらべうたが意識されているように思われる。

歌詞を表現したユニークな歌碑も

作曲者:弘田龍太郎の故郷・高知県安芸市には、童謡『雨(雨がふります 雨がふる)』の歌詞にある「緒が切れた木履(かっこ)」と「雨傘」をモチーフとした歌碑が建立されている。

安芸市にはこれ以外にも、弘田龍太郎の童謡をモチーフとしたユニークな歌碑(曲碑)が10か所建立されている。

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