夏の名残のバラ(夏の最後のバラ)
The Last Rose of Summer

アイルランド歌曲/愛する者なくして 誰が一人で生きられようか?

『夏の名残のバラ(夏の最後のバラ)』は、アイルランドの国民的詩人トマスムーア(Thomas Moore/1779-1852)による美しい詩に、ジョン・スティーブンソン(Sir John Stevenson/1761-1833)が曲をつけたもの。

日本では『庭の千草(にわのちぐさ)』のタイトルで、明治時代に小学唱歌として初めて日本に広く紹介された。

日本語版では「バラ」ではなく「白菊(しらぎく)」が歌詞の中で登場するが、内容はある程度共通点が残されている。

ちなみに、当時はまだ海外の民謡・童謡があまり日本に広まっていない時代。『蛍の光』や『蝶々』などが音楽教科書『小学唱歌(初編)』に掲載されたのもちょうどこの頃(1881年)。

【YouTube】Celtic Woman - The Last Rose of Summer

歌詞の意味・日本語訳(意訳)

'Tis the last rose of Summer,
Left blooming alone;
All her lovely companions
Are faded and gone;

No flower of her kindred,
No rosebud is nigh,
To reflect back her blushes,
Or give sigh for sigh!

夏の名残のバラ
一人寂しく咲いている
愛しき仲間たちはみな枯れ果てた

赤いバラ色を照らし返す
近しき花も芽も消え失せた
ただため息をつくばかり

I'll not leave thee, thou lone one,
To pine on the stem;
Since the lovely are sleeping,
Go sleep thou with them.
Thus kindly I scatter
Thy leaves o'er the bed
Where thy mates of the garden
Lie scentless and dead.

一人寂しく やつれた汝を
残しては行かない

愛しき者たちと共に
汝も行き眠らん

汝の葉を散らそう
庭の仲間達が香りもなく横たわる所へ

So soon may I follow,
When friendships decay,
And from Love's shining circle
The gems drop away!

When true hearts lie withered,
And fond ones are flown,
Oh! who would inhabit
This bleak world alone?

直ぐに私も後を追う
親交が途絶え
愛の光輪から宝石が
零れ落ちるときには

心の友がいなくなり
愛する者たちが旅立ってしまったら
この荒涼たる世界で
誰が一人で生きられようか?

関連ページ

庭の千草(日本の唱歌) 歌詞の意味
愛する人に先立たれ一人残されても 白菊のように力強く生きていきたい
アイルランド民謡 有名な曲
『ダニーボーイ』、『サリーガーデン』、『夏の名残のバラ』など、日本でも有名なアイルランド民謡・歌曲の歌詞と解説・日本語訳