A Day in the Life 歌詞の意味・和訳 ビートルズ

ジョン・レノンが新聞で読んだ記事やマッカートニーの若き日の記憶

A Day in the Life』(ア・デイ・イン・ザ・ライフ)は、1967年6月1日に発売されたビートルズのアルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」(サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド)に収録された楽曲。

レノン=マッカートニー名義で、曲の大部分はジョン・レノン、中間部分(ベッドから落ちたり一服する場面)のみポール・マッカートニーが作曲した。

同アルバムは「架空のロックバンドによるライヴ・ショー」をコンセプトとしており、『A Day in the Life』は同アルバムの最終収録曲としてアンコール曲に位置付けられている。

このページでは、『A Day in the Life』の歌詞と和訳を行ったうえで、歌詞に登場する語句の元ネタや由来などについて簡単に補足してみたい。

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド

ジャケット写真:アルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」

【YouTube】 The Beatles - A Day In The Life

歌詞の意味・和訳(意訳)

『A Day in the Life』

作詞・作曲:レノン=マッカートニー(Lennon–McCartney)

I read the news today, oh boy
About a lucky man who made the grade
And though the news was rather sad
Well, I just had to laugh
I saw the photograph

今日 新聞で読んだ
成功した幸運な男の記事
それは割と悲しいニュースだったけど
僕はただ笑うしかなかったよ
その写真を見たんだ

He blew his mind out in a car
He didn't notice that the lights had changed
A crowd of people stood and stared
They'd seen his face before
Nobody was really sure
If he was from the House of Lords

彼は運転中に意識が飛んで
信号が変わったのに気づかなかった
野次馬が集まってじっと見てた
彼の顔に見覚えはあったけど
誰も気が付かなかった
彼が貴族院の出身だったことに

I saw a film today, oh boy
The English Army had just won the war
A crowd of people turned away
But I just had to look
Having read the book

I'd love to turn you on

今日 映画を観ていた
イギリス軍が戦争に勝った場面で
観客は席を立ったけど
僕はただ観ていた
本で読んだことがあったんだ

僕は君をその気にさせたいのさ

Woke up, fell out of bed
Dragged a comb across my head
Found my way downstairs and drank a cup
And looking up I noticed I was late

目覚めたら ベッドから落ちた
髪をクシでとかし
階段を降りて 紅茶を一杯
時計を見て気づいた 遅刻だ

Found my coat and grabbed my hat
Made the bus in seconds flat
Found my way upstairs and had a smoke
And somebody spoke and I went into a dream

コートを探し 帽子をつかんで
バスにギリギリ間に合って
いつもどおり階段を上がって一服
誰かが話しかけた 僕は夢の中

I read the news today, oh boy
Four thousand holes in Blackburn, Lancashire
And though the holes were rather small
They had to count them all
Now they know how many holes it takes
To fill the Albert Hall

I'd love to turn you on

今日読んだニュースでは
ランカシャー州ブラックバーンの道路には
4000もの穴が開いていて
その穴は割と小さいけど
彼らは全部数えたらしい

彼らは知ったのさ
アルバートホールを埋めるのに
どれだけホール(穴)が必要かを

僕は君をその気にさせたいのさ

事故の男 元ネタは?

歌詞に登場する自動車事故を起こした男の元ネタは、ビートルズと交遊があったイギリス社交界の若者タラ・ブラウン(Tara Browne/1945–1966)。

タラ・ブラウンの母は、イギリス・アイルランドの財閥・貴族として名高いギネス家(Guinness family)の血筋で、彼は巨額の相続権を有していた。

1966年12月17日、タラ・ブラウンは自動車を運転中に、駐車中の大型トラック後部に追突。翌日18日に21歳という若さでこの世を去った。

Tara Browne  car crash newspaper

写真は、タラ・ブラウンの自動車事故を報じる新聞記事(Daily Mirror紙より引用)。右下の写真がタラ・ブラウン。左側は同乗していた恋人の女性「Suki Potier」。

彼は、衝突の瞬間、彼女をかばうようにハンドルを切ったと考えられており、彼女は軽傷にとどまった。

なお、タラ・ブラウンの自動車事故を歌詞の元ネタにしたことについて、ジョン・レノンは次のように述べている(ウィキペディアより引用)。

僕は事故を実際の通りに書いたわけじゃない。タラは正気を失っていたわけじゃなく、詞を書いている時に僕が思いついただけだ。信号に気づかなかったとか野次馬が集まってきたとか、曲の中での事故のそういう細かい部分については架空の出来事だ。

イギリス軍の映画

映画でイギリス軍が登場する歌詞については、1967年10月にイギリスで公開されたコメディ映画「How I Won the War」が元ネタの可能性がある(日本は劇場未公開)。

A Day in the Life』リリースは1967年6月だが、映画が撮影されたのは1966年9月頃。

How I Won the War

ジャケット写真:How I Won the War [Blu-ray]

二次世界大戦を背景に戦争を風刺したブラック・コメディ映画で、監督はリチャード・レスター、主演はマイケル・クロフォード。

ジョン・レノンも主要な役で出演しており、「ジョン・レノンの 僕の戦争」という邦題がつけられている。

マッカートニーの回想

ポール・マッカートニーによって書かれた中間部の歌詞は、彼の若かりし頃の記憶がモチーフとなっている。この歌詞について、マッカートニーは次のように語っている(ウィキペディアより引用)。

それは僕がスクールバスを捕まえるために道を走り、タバコを吸いながらクラスに入っていく…僕の学生時代の反映だったんだよ。僕はウッドバイン(イギリスの安価なフィルター無しタバコ)を吸い、誰かが話しかけて、僕は夢の中に入っていったんだよ

4000の穴とは?

イギリス北西部ランカシャー州にある工業が盛んな町ブラックバーン(Blackburn)では『A Day in the Life』がリリースされた当時、町に広がる道路の路面の状態が悪く、町全体で大小4000もの穴が道路に開いていたと新聞で報じられていた。

道路の状態が悪かったのはブラックバーンだけではなく、ロンドン全体の道路では計算上30万もの穴があったと類推されていたようだ。

なお、穴は英語で「hole(ホール)」。コンサートホールの「ホール」と発音が同じ。アルバートホールの「ホール」と韻を踏んでいる。

アルバートホール

アルバートホールとは、ロンドン中部にある演劇場ロイヤル・アルバート・ホール(Royal Albert Hall of Arts and Sciences)のこと。

ロイヤル・アルバート・ホール ロンドン

写真:ロイヤル・アルバート・ホール(出典:Wikipedia)

建物の大きさは83メートル(272フィート)×72メートル(236フィート)で、形は楕円形をしており、現代の安全基準では7,000人ほどの入場が可能。

毎年夏に開催されるクラシック音楽の祭典「BBCプロムナードコンサート」(The Proms/BBCプロムス)の会場として有名。ボクシングやプロレスリング、テニス等のスポーツイベントも開催されることもある。

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