1919年に出版された楽譜の内容とは?

森のくまさんの謎/ドナドナ研究室

替え歌「キュートな男の子」そして「小さなイモムシ」に共通するキーワード「サイダー」と「ストロー」。この謎を解く鍵は、1919年のアメリカで出版されたある楽譜に隠されていました。

タイトルは「SIPPING CIDER THRU' A STRAW(ストローでサイダーを飲みながら)」で、まさに「サイダー」と「ストロー」のキーワードがズバリ使われているのが確認できます。

肝心の歌詞ですが、どうやら「キュートな男の子」に近い内容のストーリーが描かれているようです。それでは早速そのストーリーを覗いてみることにしましょう。

下画像:Sipping cider thru' a strawの楽譜表紙(出典:Rare Book, Manuscript, and Special Collections Library, Duke University)

SIPPING CIDER THRU' A STRAW ストローでサイダーを飲みながら

Sipping Cider Thru a Straw (Thipping Thider Thru a Thtraw)
(by Carey Morgan and Lee David, 1919)

(The) Sweetest girl I ever saw
Was selling cider in a grocery store.
At half-past six when the sun would set,
I used to go to see my pet,
She'd take the key and lock the door,
We'd get some cider and a big long straw.

今までで一番の 最高にカワイイあの娘
雑貨店でサイダー売ってた
よくあの娘に会いに行った 日も暮れかける6時半頃
彼女は鍵で店を閉めて
二人でサイダーを大きくて長いストローで飲んだものさ

CHORUS:
Thipping thider thru a thtraw,
We sat there for hours or more
I thipped firtht and she thipped latht
But she thipped motht because she thipped tho fatht.

ストローでサイダーを飲みながら
僕等はずっと座ってた
僕が先に飲んで 彼女が後に飲んだ
でも彼女が勢いよく吸って ほとんど全部飲んじゃった

We thipped till our thtraw did thlip,
and I thipped thider from her lip,
That's how I won my mother-in-law
Thipping thider thru a big, long thtraw.

ストローが口からすべって抜けて
彼女の口からサイダーを飲んだ
これで義理の母とうまくやった
大きく長いストローでサイダーを飲みながら

When first I saw her with a straw,
Said I to "she," "What are you doing that for?"
Said she to me: "Why don't you know?
That sipping cider's all the go?"
She was so sweet, as sweet can be,
But sipping cider was the end of me.

ストロー使ってる彼女を最初に見たとき
「それで何やってんの?」と聞いてみたら
「知らないの?ストローでサイダーを飲むのが流行ってんのよ」
彼女はとても可愛かった これ以上ないってぐらいに
でもそれは僕の終わりだった

Cheek to cheek like Paw and Maw,
We thipped till our lipth got sore,
Now I've got ten kids or more,
Thipping thider thru a big, long thtraw.

寄せ合うほおとほお パパとママみたいに
僕等は飲み続けた 唇がはれ上がるまで
今じゃ子供が10人以上
大きく長いストローでサイダーを飲みながら

歌詞は似ているがメロディーが全然違う?

ご覧頂いた通り、1919年の楽譜に記載された歌詞の内容は、今日のアメリカで歌われている替え歌「キュートな男の子」のストーリとほぼ共通している内容となっていますが、実はこの楽譜のメロディーを再現してみると、いわゆる「森のくまさん」で使用されているメロディーとは全く異なるものであることが分かりました。その再現MIDIをご紹介します。

【試聴】 Sipping Cider Thru a Straw by Carey Morgan and Lee David, 1919

メロディーのルーツ? 魚肉ボールと哀れな男の物語

せっかく「森のくまさん」のルーツが見つかったと思ったら、どうやら全く違うメロディーが用いられていて正直がっかりしました。1919年までさかのぼってもオリジナルのメロディーにはたどり着けないのでしょうか・・・。何か他に信頼できる歴史資料は存在しないものか・・・。そんなとき、偶然に出会ったあるユニークな内容の曲のメロディーを何気なく聞いてみると、そこには驚きの真相が!?

【次のページ】 「8.腹をすかせた哀れな男の歌」へ進む

森のくまさんの謎 インデックス

  1. はじめに
  2. 歌詞の様々な解釈
  3. 作詞は馬場祥弘氏
  4. 森くま英語版のユーモア
  5. ちょっぴり大人な替え歌
  6. 小さなイモムシ
  7. 1919年の楽譜
  8. 腹をすかせた哀れな男の歌
  9. 魚肉からミートボールへ
  10. すべての謎は解けた?

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