ノヴェンバー・ステップス
November Steps

オーケストラとの対置により際立つ琵琶・尺八の協奏曲

『ノヴェンバー・ステップス(November Steps)』は、武満 徹(たけみつ とおる/1930-1996)が1967年に作曲した、琵琶・尺八とオーケストラのための音楽作品。

11月を意味する曲名「ノヴェンバー November」のとおり、1967年11月9日、小澤征爾の指揮でニューヨーク・フィルハーモニックにより初演された。

武満徹と小澤征爾 『ノヴェンバー・ステップス』収録アルバム

写真:武満徹と小澤征爾 『ノヴェンバー・ステップス』収録アルバム

同曲は、ニューヨーク・フィルハーモニック125周年記念委嘱作品として、当時の音楽監督レナード・バーンスタインにより依頼された楽曲。

同楽団で副指揮者を務めた小澤征爾が、武満が作曲した琵琶と尺八のための『エクリプス』をバーンスタインに紹介したことがきっかけとなった。

【試聴】 指揮:小澤征爾/新日本フィルハーモニー  前半

【試聴】後半

曲名の意味・由来は?

曲名は当初『ウォーター・リング』の予定だったが、ネイティブに確認したところ、「浴槽に付いた泡」の意味に解釈されてしまうとのことで、この曲名案はボツになってしまったという。

ニューヨーク・リンカーン・センター

写真:初演会場のニューヨーク・リンカーン・センター(出典:Wikipedia)

紆余曲折を経て、11月の初演が決まっていたこの曲は、英語で11月を意味する「ノヴェンバー November」を冠して、『ノヴェンバー・ステップス』と命名された。

「ステップス」については、邦楽における音楽作品の節単位「段」を意味していると考えられる。例えば、筝曲でいうと『六段の調べ』が有名だ。

ウィキペディアの解説によれば、『ノヴェンバー・ステップス』は「音楽構造として11の段を持つ」という。

際立つ琵琶と尺八

琵琶や尺八といった日本の伝統楽器が、西洋音楽のオーケストラと共演する『ノヴェンバー・ステップス』。

一見すると、それは西洋音楽と東洋音楽の「融合」ではあるが、作曲者の意図は、むしろその真逆にあったようだ。

オーケストラに対して、日本の伝統楽器をいかにも自然にブレンドするというようなことが、作曲家のメチエ(引用者注:表現に要する職業的技巧)であってはならない。むしろ、琵琶と尺八がさししめす異質の音の領土を、オーケストラに対置することで際立たせるべきなのである。

<引用:「武満徹全集 第1巻 管弦楽曲」小学館より>

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