誰も知らない私の悩み
Nobody Knows the Trouble I've Seen

どんな悩みも悲しみも 主イエスはすべて分かっていてくださる

『誰も知らない私の悩み Nobody Knows the Trouble I've Seen』は、19世紀半ば頃から広まった黒人霊歌・スピリチュアルソング。数多くのCDや楽譜などにも収録される定番の曲。

様々なアーティストがカバーしているが、中でもサッチモの愛称で親しまれるジャズミュージシャンのルイ・アームストロング(Louis Armstrong/1901-1971)によるアレンジ・演奏が世界的に有名。

歌詞では、「誰も自分の苦しみや悲しみを知らない」とあるが、これは何も孤独で気弱に嘆いているわけではなく、「Nobody knows but Jesus」、すなわち主イエスはちゃんと分かっていてくださる、だから心を強く持って苦しみや悲しみにも耐えていける、そしていつか主イエスの元へ旅立つんだという救いと希望のメッセージが歌い込まれている。

【YouTube】歌と演奏:ルイ・アームストロング Louis Armstrong

【YouTube】歌:マヘリア・ジャクソン Mahalia Jackson

歌詞の意味・和訳

Nobody knows the trouble I've seen
Nobody knows my sorrow
Nobody knows the trouble I've seen
Glory hallelujah!

誰も知らない私の悩み
誰も知らない私の悲しみ
誰も知らない私の悩み
主に栄光あれ

Sometimes I'm up,
sometimes I'm down
Oh, yes, Lord
Sometimes I'm almost to the ground
Oh, yes, Lord

時には陽気に 時には落ち込み
時には倒れる寸前まで
ああ そうです 主よ

If you get there before I do
Oh, yes, Lord
Tell all-a my friends
I'm coming to HEAVEN!
Oh, yes, Lord

もし先に着いたのなら
友達に伝えておくれ
俺もすぐに主の下へ行くからと

グローリーハレルヤと関連曲

『誰も知らない私の悩み』には「Glory hallelujah! グローリーハレルヤ(主に栄光あれ)」という歌詞が登場するが、同じフレーズがアメリカ歌曲『リパブリック賛歌 The Battle Hymn of the Republic』にも使われ何度もリフレインされている。

リパブリック賛歌』は19世紀アメリカ南北戦争における北軍を讃える賛歌として作曲されたものだが、南北戦争は極論すれば、アフリカからアメリカへ連れてこられた黒人労働者らの扱いを巡って国内が二分された結果引き起こされた争い。

厳しい境遇にあった黒人らに関連する曲という点では、『誰も知らない私の悩み』と『リパブリック賛歌』には歌詞のみならず、そのバックグラウンドも共通性があると言える。曲が誕生した時期もかなり近接していると思われる。

ちなみに、テーマの共通性という観点からは、19世紀アメリカ民謡の父と称賛される音楽家スティーブン・フォスターの名曲『主人は冷たい土の中に』、『故郷の人々(スワニー河)』なども挙げられる。同じテーマの様々な曲を関連づけながら鑑賞してみると、より一層興味深く感じられることだろう。

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