ピクニック
丘を越え行こうよ 口笛吹きつつ

キャンプソング・レクソング/空は澄み青空 牧場をさして

「丘を越え行こうよ 口笛吹きつつ」が歌い出しの有名なレクソング『ピクニック PICNIC』。同曲は、アメリカの『She'll be Coming Round The Mountain』が原曲と考えられている。

原曲は「イギリス民謡」と紹介されることがあるが、この場合、実際にどの曲を指しているのかは不明。

作詞者については「萩原英一」氏の名前が挙げられており、作詞ではなく「訳詞」として表記されていることから、日本語の歌詞を考えるうえでベースになった「イギリス民謡」があったのかもしれない。

萩原英一(1887-1954)は大正・昭和時代のピアニストで、ドイツ留学の後、母校である東京音楽学校(現・東京芸大)の教授として、同校吹奏楽団の設立に尽力した(出典:講談社「日本人名大辞典+Plus デジタル版」)。

【YouTube】ピクニック 丘を越え行こうよ 口笛吹きつつ

歌詞(訳詞:萩原英一)

1.
丘を越え行こうよ
口笛ふきつつ
空は澄み 青空
牧場をさして

歌おう ほがらに
ともに手を取り
ラララ ララ ララ ララ

ララ ララ あひるさん
ガァガァガァ
ララ ララ ララ やぎさんも
メーーエ

ララ 歌声あわせよ
足並みそろえよ
きょうは ゆかいだ

2.
丘を越え行こうよ
口笛ふきつつ
空は澄み 青空
牧場をさして

歌おう ほがらに
ともに手を取り
ラララ ララ ララ ララ

ララ ララ いぬくんも
ワンワン
ララ ララ ララ にわとりさんも
コケコッコー

ララ 歌声あわせよ
足並みそろえよ
きょうは ゆかいだ

3.
丘を越え行こうよ
口笛ふきつつ
空は澄み 青空
牧場をさして

歌おう ほがらに
ともに手を取り
ラララ ララ ララ ララ

ララ ララ にわとりさん
コケコッコー
ララ ララ ララ うしさんも
モーーー

ララ 歌声あわせよ
足並みそろえよ
きょうは ゆかいだ

1935年にレコード発売

『ピクニック』という楽曲は、1935年(昭和10年)にコロムビアレコードからレコード発売されている。歌は、中野忠晴とコロムビア・リズム ボーイズ。作詞:桐山麗吉、作曲:中野忠晴、編曲:奥山貞吉。

中野 忠晴(なかの ただはる/1909-1970)は、アメリカのポピュラーソングを戦前期の日本に広め、和製ポップスの基礎を築いた歌手・作曲家。

Webサイト「蓄音機で聴く昭和の流行歌」では、戦前に発売された『ピクニック』のレコードを蓄音機で再生した動画をYouTubeで公開しており、非常に歴史的資料価値の高い動画となっているので、ここでご紹介したい。

【YouTube】ピクニック 中野忠晴 コロムビア・ナカノ・リズム・ボーイズ

中野忠晴版を聴いてみると、「丘を越え行こうよ 口笛吹きつつ」の歌い出しは同じだが、今日知られる歌詞とは異なる部分がいくつか確認できる。2番の歌詞はさらに内容を大きく異にしている。

発売時期からして、恐らくこの中野忠晴版『ピクニック』が日本語版の元祖だと思われるが、一部のメロディについては、やはりアメリカの『She'll be Coming Round The Mountain』から大きな影響を受けているようだ。

今日有名な萩原英一版の歌詞が発表された時期は不明だが、恐らくは戦後に子供向けの歌として改訂されたものだろう。

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