すかんぽの咲く頃 北原白秋
土手のすかんぽ ジャワ更紗 夏が来た来た ドレミファソ♪
「土手のすかんぽ ジャワ更紗(さらさ)♪」が歌い出しの『酸模(すかんぽ)の咲くころ』は、作詞:北原白秋、作曲:山田耕筰による日本の童謡。昭和5年発表。
「すかんぽ」とは、タデ科の多年草スイバの別名。田畑の土手や道端に多く自生し、花は春から初夏にかけて咲く。
写真:荒川河川敷のスイバ(出典:Webサイト「ビオ・荒川さいたま」)
ジャワ更紗(さらさ)とは、木綿地の文様染め工芸品の一つ。かつてはインドネシア・ジャワ島が産地だったことに由来。バティックの名で知られる。
写真:スイバの花(出典:おくでん倶楽部「平尾台の花」)
【YouTube】すかんぽの咲く頃
【YouTube】 小川明子 酸模の咲く頃(北原白秋)
歌詞
土手のすかんぽ ジャワ更紗(さらさ)
昼は蛍が ねんねする
僕ら小学 一年生
今朝も通って またもどる
すかんぽ すかんぽ 川のふち
夏が来た来た ドレミファソ
<注:昭和5年の原詩では「一年生」は「尋常科(じんじょうか)」>
なぜジャワ更紗なのか?
一体何故、すかんぽの歌に突然「ジャワ更紗」が登場するのだろうか?
これは、ジャワ更紗の模様として描かれる植物の模様には、すかんぽ(スイバ)の形状を思わせるデザインがある(場合がある)ため、すかんぽ(スイバ)の咲く様子がまるでジャワ更紗の模様のようだ、と歌っているのだと推測される。
ただし、ジャワ更紗の模様がすかんぽ(スイバ)に似ている(場合がある)からというのは理由の半分ぐらいで、もう半分の理由としては、「ジャワ更紗」という言葉の響きの面白さ・語呂の良さから、遊び心で歌詞に組み込まれたのではないかと思われる。
写真:ジャワ更紗 染め帯(出典:創作着物と帯の専門店マルトヤ)
スイバの食用はシュウ酸に注意
スイバは、春先に野生の柔らかい新芽を山菜として食用にできる。ヨーロッパでは、スープの実やサラダ、肉料理の副菜や付け合わせとしてよく使われる。
ただし、スイバはホウレンソウと並んで、多量のシュウ酸を含む植物でもある。シュウ酸は腎臓結石・尿路結石の大きな原因となる可能性があるため、食べ過ぎには注意が必要だ。
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