キツネ狩りの歌
Was kommt dort von der Höh'
ドイツ民謡/ブラームス『大学祝典序曲』でおなじみのメロディ
『Was kommt dort von der Höh'』(そこの丘から何が来た)は、ドイツの学生歌として古くから歌われてきたドイツ民謡。
『Fuchslied』(キツネの歌)と副題がつくこともあり、「狩りの歌」、「狐狩りの歌」、「狐乗りの歌」などの表記も見られる。
同曲は19世紀ドイツの作曲家ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms/1833-1897)の代表曲『大学祝典序曲』の中で引用されたことでも知られ、特に日本では大学受験ラジオ講座のオープニングテーマ曲として知名度が高い。
【YouTube】Was kommt dort von der Höh
【YouTube】スッペ変奏曲 Was kommt dort von der Höh
歌詞は18世紀に誕生?
歌詞については、18世紀中頃の喜劇に登場する歌曲の歌詞が元になっており、19世紀に入って別の曲のメロディが転用され、『Was kommt dort von der Höh'』が誕生したようだ。
wikipediaドイツ語版によれば、1848年のドイツ3月革命において、タイトル・歌詞の「Höh」が軍や警察に見立てられて、ドイツ革命軍の軍歌としても歌われていたという。これが事実なら、既に19世紀半ばには『Was kommt dort von der Höh'』が既に広く歌われていたことになる。歴史的に興味深い記述だ。
新入生歓迎の歌にも
ネットで検索すると、「新入生の歌」と日本語で題されるケースが散見されるが、実際にドイツで歌われる際は、やはり新入生の歓迎会などで歌われるのであろうか?
具体的にどのような状況で歌われるのか、海外のページを検索していくと、新入生がブリーチ(乗馬用のズボン)とジャックブーツ(長靴)を履いて、馬に見立てたイスにまたがり、周りでは上級生がビールを飲みながらこの『Was kommt dort von der Höh'』を歌ってどんちゃん騒ぎをするという記述を見かけた。なんとも荒唐無稽な内容だが、若い学生らしい何とも陽気な伝統儀式だ。
一見すると意味が無いようにも見えるが、大学に進学した新入生が、希望を胸に馬で大学に向かう様を表しているというちゃんとした理由もあるようだ。恐らく詳しく調べていけば、他にも歴史的にれっきとした経緯や背景があるのだろう。
スッペが変奏曲に編曲
ネットで『Was kommt dort von der Höh'』関連の情報を調べていくと、代表曲『軽騎兵序曲』で知られるオーストリアの作曲家フランツ・フォン・スッペ(Franz von Suppé/1819-1895)の名前がいくつか見受けられる。
あまりスッペに関しては情報がないのだが、確認してみると、どうやらスッペがこの『キツネの歌』をコミカルな変奏曲として引用・アレンジした作品を残しているようなのだ。
その変奏曲のタイトルは、その名もズバリ『Humoristische Variationen über das beliebte Fuchslied "Was kommt dort von der Höh?"』。アルフレート・ヴァルター(Alfred Walter)指揮、スロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるCD「序曲集 第3集 スッペ:序曲集」(下のジャケット)も発売されている。iTunes StoreやAmazon MP3 でダウンロードも可能なので、ご興味のある方は是非とも試聴してみていただきたい。
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