旧友 Alte Kameraden

世界三大行進曲の一つとして評価されるドイツの行進曲

ドイツの行進曲『旧友』(Alte Kameraden/アルテ・カメラーデン)は、1889年にドイツ陸軍付の音楽家カール・タイケ(Carl Albert Hermann Teike/1864-1922)により作曲された。

アメリカの行進曲『星条旗よ永遠なれ』、日本の行進曲『軍艦行進曲』と並ぶ世界三大行進曲の一つとして紹介されることがある。

ドイツのブンデスヴェール軍楽隊(ドイツ連邦軍参謀軍楽隊/Stabsmusikkorps der Bundeswehr)

写真は、ドイツのブンデスヴェール軍楽隊(ドイツ連邦軍参謀軍楽隊/Stabsmusikkorps der Bundeswehr)によマーチングバンド演奏の様子(出典:Wikipedia)。日本の陸上自衛隊中央音楽隊とも交流がある。

ちなみに、曲名のドイツ語「Kameraden カメラーデン」は、フランス語では「 Camarad キャマラード」。フランスの童謡『クラリネットをこわしちゃった』のコーラス「♪オ・パ・キャマラード パ・キャマラード♪』で連呼されている。

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歌詞の意味(意訳)

Alte Kameraden auf dem Marsch durchs Land
Halten Freundschaft felsenfest und treu.
Ob in Not oder in Gefahr,
Stets zusammen halten sie auf's neu.

旧友が進みゆく
誠実なる友情を携えて
窮地や危険な状況でも
友情が結ぶ固い絆

Zur Attacke geht es Schlag auf Schlag,
Ruhm und Ehr soll bringen uns der Sieg,
Los, Kameraden, frisch wird geladen,
Das ist unsere Marschmusik.

矢継ぎ早に戦いは続き
栄光と名誉が我らを勝利に導く
さあ仲間たちよ 新たな命令だ
これぞ我らの軍楽隊

Im Manöver zog das ganze Regiment
Ins Quartier zum nächsten Dorfhauselement
Und beim Wirte das Geflirte
Mit den Mädels und des Wirtes Töchterlein.

作戦の合間 連隊の皆は
隣村の家で 村の娘達と戯れる

Lachen scherzen, lachen scherzen, heute ist ja heut'
Morgen ist das ganze Regiment wer weiß wie weit.
Kameraden, ja das Scheiden ist nun einmal unser Los,
Darum nehmt das Glas zur Hand und wir rufen „Prost“.

笑え 騒げ 今日は今日だ
明日のことなど誰が知る
戦友よ 別れは我等の宿命
グラスを掲げ 乾杯と叫ぼう

Alter Wein gibt Jugendkraft;
Denn es schmeckt des Weines Lebenssaft.
Sind wir alt, das Herz bleibt jung
Und gewaltig die Erinnerung.

古いワインが若い力をくれる
ワインは生命の霊薬
老いても心は若いままに
思い出も確かなままに

Ob in Freude, ob in Not,
Bleiben wir getreu bis in den Tod.
Trinket aus und schenket ein
Und laßt uns alte Kameraden sein.

歓喜の中でも 苦難の時も
死ぬまで誠実でいよう
飲み干せ また注げ
我等は旧友でいよう

Sind wir alt, das Herz bleibt jung,
Schwelgen in Erinnerung.
Trinket aus und schenket ein
Und laßt uns alte Kameraden sein.

老いても心は若く
思い出に浸ろう
飲み干せ また注げ
我等は旧友でいよう

楽長から酷評され退役

『旧友』作曲者のタイケは作曲当時、今日におけるドイツ連邦共和国のバーデン=ヴュルテンベルク州南部に属する都市ウルム(下写真)で勤務していた。

ウルム大聖堂から見たウルムの街並み

写真:ウルム大聖堂から見たウルムの街並み(出典:Wikipedia)

タイケは『旧友』の楽譜を軍楽隊の楽長に提出したところ、「行進曲は十分間に合っている。こんな曲はストーブに放りこんで薪にでもしてしまえ」と酷評され、失意のあまり陸軍を退役してしまった。

この突然の退役による仲間たちとの別れが、『旧友』の曲名や歌詞の内容に投影されているという。

タイケはその後、ウルムで警察官となり、地主の娘と結婚した。作曲活動はその後も継続していたようだ。

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