イギリスによる北アイルランド併合(連合)
アメリカ独立戦争とフランス革命の影響
1775年にアメリカ独立戦争が勃発すると、イギリスはその対処に追われ、アイルランドでは議会の地位向上に向けた運動が広まった。
1789年のフランス革命後は、革命政権との連携を通じてアイルランドでも急進的改革に向けた動きが広がり、勢いを吹き返したカトリック教徒を前に、アイルランド議会のプロテスタント勢力は劣勢に立たされた。
ウルフ・トーンによる独立運動
1791年10月、ウルフ・トーン(Wolfe Tone/1763–1798)、トーマス・ラッセルらを中心に、アイルランド人の団結とイギリス支配からの脱却を目指すグループ「ユナイテッド・アイリッシュメン The Society of United Irishmen」がアイルランドのベルファストで結成された。
その思想は、プロテスタントとカトリックが宗派を越えて平等に手を組み団結し、英国支配から独立した民主主義国家を作り上げることであった。
この目標は、現在のアイルランド国旗のデザイン・配色にも表れており、その考案者はウルフ・トーンとも言われるが定かではない(ちなみに当時の団旗は緑地にハープの絵)。
右写真:ウルフ・トーン像(出典:Wikipedia)
ついにアイルランド併合
ユナイテッド・アイリッシュメンはフランス革命政府を支持していたため、フランスと対立していたイギリス政府から反逆的組織として激しい弾圧を受けた。
彼らによる反乱はアイルランド全土に広がり、一時期は勝利を収める局面も見られたが、軍事力で圧倒期に勝る政府軍の前に最終的には敗北し、18世紀末の反乱は鎮圧された。
事態を重く見たイギリス政府は、1800年にイングランド議会とアイルランド議会で連合法を可決し、翌年にグレートブリテンおよびアイルランド連合王国を成立させ、アイルランドを完全に併合した。
併合前にアイルランドへの譲歩として約束されていたカトリック教徒の解放はうやむやにされ、カトリック教徒解放法が定められたのは、ナポレオン戦争後の1829年のことである。
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