おいらボコだぜ! ガルパン劇場版挿入歌
西部劇テーマ曲と「あしたのジョー」

元ネタ・オマージュ・似てる曲

『おいらボコだぜ!』は、アニメ「ガールズ&パンツァー」劇場版において、島田流戦車道の後継者として大学選抜チーム大隊長を務める天才少女・島田 愛里寿(ありす)が歌う劇中歌。

歌詞は、劇中で登場するクマのキャラクター「ボコられグマのボコ」のテーマソング的な内容となっており、大洗町内の寂れたテーマパーク「ボコミュージアム」のシーンでも曲が流れる。

主人公の西住みほもボコの大ファンで、部屋には様々なボコのぬいぐるみが飾られている。ガルパン劇場版DVDでは、西住みほ(CV:渕上舞)と島田愛里寿(CV:竹達彩奈)が歌う『おいらボコだぜ!』特典CDが同梱されている。

【YouTube】おいらボコだぜ! 愛里寿&みほ

元ネタは「荒野の用心棒」テーマ曲? あしたのジョーも?

さて、アニメ「ガールズ&パンツァー」では、テレビ版・劇場版・OVA版などシリーズを通じて、西部劇や時代劇、戦争映画などから様々な形でパロディやオマージュが盛り込まれているが、この『おいらボコだぜ!』にも若干のオマージュ的な要素が垣間見える。

元ネタの曲としては、1964年にイタリアで公開された初のマカロニ・ウェスタン作品「荒野の用心棒 A Fistful of Dollars」テーマ曲『さすらいの口笛』が、恐らくオマージュ曲として意識されていると思われる。

まずは『おいらボコだぜ!』冒頭イントロ部分の口笛を模したような寂しげなメロディ。これは「荒野の用心棒」テーマ曲『さすらいの口笛』の口笛を暗に表現したものだろう。

次に『おいらボコだぜ!』の歌詞にある「Come on, Come on, Come on, You can this!」の部分。「荒野の用心棒」テーマ曲『さすらいの口笛』では、「We can fight(または with a wind)」という掛け声が何度も繰り返される。

『おいらボコだぜ!』での「You can this!」の歌い方も「We can fight」の掛け声に似せて歌われているように思われる。

ただ、これらの類似点は、「荒野の用心棒」の翌年に公開された続編の「夕陽のガンマン」テーマ曲にも当てはまることで、さらに後者では「go, go, fight, go to fight!」とより多くの掛け声が盛り込まれており、こちらからの影響もある程度感じられる(両曲ともエンニオ・モリコーネ作曲)。

ボコはあしたのジョーの丹下段平?

ボコられグマのボコに関しては、1970年代の漫画・アニメ「あしたのジョー」に登場する主人公・矢吹 丈(やぶき じょう)のトレーナー・セコンドを務めた丹下段平(たんげだんぺい)がモデルの一つではないかと思われる。

丹下段平のトレードマークは左目の眼帯に顔の古傷と出っ歯に坊主頭。この「左目の眼帯と古傷」のデザインが、ガルパン劇場版のボコミュージアムで出迎えたボコにも見受けられる。

体中の包帯も、特に腕から手にかけての包帯は、ボクシングの選手がやるようなボクサーテーピングを暗に表現しているようにも見え、ボコミュージアムでもシャドウ・ボクシングのような動作をしていたことからも、やはりある程度「あしたのジョー」が意識されていたのではないだろうか。

メロディはグリーグの名曲?

余談だが、『おいらボコだぜ!』のメロディは、グリーグの組曲『ペールギュント』の一曲『山の魔王の宮殿にて』に似ているとの指摘があるようだ。また、『蒲田行進曲』や『宇宙戦艦ヤマト』の雰囲気もあり、この辺は言い出したらキリがないのでこの辺で。

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