ハイネ詩集『歌の本』とドイツ歌曲

ハイネの詩に作曲した有名なドイツ歌曲を簡単にまとめ

19世紀ドイツの詩人ハインリヒ・ハイネ(Heinrich Heine/1797-1856)が1827年に刊行した詩集『歌の本 Buch der Lieder』には、ロベルト・シューマンメンデルスゾーンなど多くのドイツ作曲家がメロディをつけている。

このページでは、ハイネ詩集『歌の本』に基づく有名なドイツ歌曲をいくつか紹介したうえで、最後に『歌の本』の内容・構成について簡単に解説したい。

ハインリヒ・ハイネ

挿絵:ハインリヒ・ハイネ(出典:Wikipedia)

歌の翼に メンデルスゾーン

ハイネ詩集『歌の本』から歌詞を採った歌曲としては、フェリックス・メンデルスゾーン『歌の翼に Auf Flügeln des Gesanges』が特に有名。

【YouTube】メンデルスゾーン 歌の翼に

歌の翼に』の歌詞は、『歌の本』第二部の「抒情的間奏曲 Lyrisches Intermezzo」第9詩から採られている。

ローレライ ジルヒャー

ハイネ詩集『歌の本』第三部「帰郷 Die Heimkehr」では、ライン川のローレライ伝説を題材とした「Ich weiß nicht, was soll es bedeuten」が収められている。

この詩に歌詞をつけたジルヒャーの歌曲『ローレライ』は日本でも有名。

【YouTube】ローレライ Die Lorelei

美しい五月に シューマン

ハイネと親交のあったドイツの作曲家ロベルト・シューマンは、ハイネ詩集『歌の本』第二部「抒情的間奏曲 Lyrisches Intermezzo」から詩を用いた16曲の連作歌曲『詩人の恋』を発表している。

詩人の恋』の中でも、第一曲目の『美しい五月に』が特に有名。

【YouTube】美しい五月に 歌:F. WUNDERLICH

シューベルト『白鳥の歌』

シューベルトが最晩年に作曲した歌曲集「白鳥の歌」(D957/965a)では、「ハイネの詩による6つの歌曲」として、ハイネ詩集『歌の本』第三部「帰郷 Die Heimkehr」から歌詞を取った歌曲が収められている。

【YouTube】シューベルト「白鳥の歌」より『影法師(ドッペルゲンガー)』

『歌の本』内容・構成

第一部 若き悩み Junge Leiden
「夢の形 Traumbilder」、「歌 Lieder」、「ロマンス Romanzen」、「ソネット Sonette」の4つのパートで50以上の詩が収められている。
第二部 抒情的間奏曲 Lyrisches Intermezzo
ロベルト・シューマンの連作歌曲『詩人の恋』や、メンデルスゾーン『歌の翼に』の歌詞は、この「抒情的間奏曲」から採られている。
第三部 帰郷 Die Heimkehr
ライン川のローレライ伝説を題材としたジルヒャーの歌曲『ローレライ』は、この第三部「帰郷」の第2番目の詩「Ich weiß nicht, was soll es bedeuten」が用いられている。
第四部 ハルツの旅より Aus der Harzreise
「ハルツ Harz」とは、ドイツの中北部の東方に位置する山地。古くから神秘的な山、特に中世では魔女の住む山とされた。ゲーテやハイネらがハルツに滞在。ブロッケン山が有名。
第五部 北海 Die Nordsee
「北海」とは、イギリスの東側、ドイツの最北部に面する海域。ハイネは1825年にゲッティンゲン大学を卒業後、北海に面するドイツのノルデルナイ島で休養を取った。

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