三三七拍子 由来と歌・楽曲まとめ
野球や運動会などの応援で定番の手拍子
「三三七拍子/337拍子」(さんさんななびょうし)は、主に野球や運動会などの応援で行われる定番のリズム(実際には4拍子)。
学ランを着た応援団長が、拍子に合わせて扇子を「チャッ チャッ チャッ♪」と動かす古典的なスタイルはあまり目にする機会がないかもしれないが、現代でも野球やイベントなどで、応援団が機敏な手の動きで「三三七拍子」を披露する姿を見ることができる。
写真:早稲田大学応援部の学生(出典:Wikipedia)
この「三三七拍子」はいつから始まったのだろうか?誰が考案した応援スタイルなのか?その由来・ルーツについて簡単にまとめてみた。
合わせて、 「三三七拍子」のリズムが取り入れられた歌・楽曲について、いくつか具体例を示して簡単に解説する。
元祖は明治大学応援団
「三三七拍子」を考案したのは、明治大学応援団・初代団長の相馬基(そうま もとい)氏。大正10年(1921年)に行われた早稲田大学との対抗試合で初めて披露された。
写真:明治大学応援団初代団長・相馬基(出典:明治大学OB会Webサイト)
当時は現代のような「三三七拍子」ではなく、次のような歌詞でリズムに合わせて歌う形式の応援歌だったようだ。
勝った方がいい! 勝った方がいい!
勝った方がいいったら、勝った方がいい!
さらに、相馬団長は相撲部も兼任しており、横綱の土俵入り「不知火型(しらぬいがた)」における手の動きも取り入れられた。拍子に合わせて扇子を「チャッ チャッ チャッ♪」とせり上げるあの動きだ。
これらの掛け声は広まっていくうちにやがてなくなり、現在のような手拍子と手の動きで定着していったようだ。
NHK「チコちゃんに叱られる!」の解説
2018年にNHKで放送されたテレビ番組「チコちゃんに叱られる!」でも、「なぜ応援は3・3・7拍子なのか?」というタイトルで、上述のとおり明治大学応援団が元祖だと解説している。
同番組では、 「三三七拍子」のリズムが組み込まれた具体的な楽曲として、モーニング娘。『恋愛レボリューション』、X JAPAN『紅(くれない)』、ピンク・レディー『サウスポー』、TRF『EZ DO DANCE』などの曲名を挙げていた。
これらの楽曲は、明治大学応援団により「三三七拍子」が考案された後に作曲された日本の歌謡曲・ポピュラーソングだ。
では、明治大学応援団による考案前には、このような「三三七拍子」のリズムは存在しなかったのだろうか?応えは明らかに「ノー」だ。
世界の民謡・童謡と三三七拍子
「三三七拍子」のリズムが感じられる楽曲は、伝統的な世界の民謡・童謡の中にも数多く存在する。
例えば、日本の古謡『さくらさくら』や、明治時代の唱歌『ちょうちょ』など、その冒頭部分は「三三七拍子」の要領で歌うことができる。
アメリカの童謡では、『谷間の農夫(田んぼの中の一軒家)』や、『ゆかいな牧場(イーアイ・イーアイ・オー)』などで、「三三七拍子」のリズムが強く感じられる。
この他にも、『茶色の小瓶(こびん)』、『ヒッコリーディッコリードック』、『手を叩きましょう』など、「三三七拍子」的な拍子が潜んでいるように思われる。
クラシック音楽・行進曲と三三七拍子
上述のNHK「チコちゃんに叱られる!」では、「三三七拍子」のリズムと相性の良いクラシック音楽の楽曲として、ベートーヴェン交響曲第5番「運命」を取り上げていた。
その要領で言えば、他にもエルガー『威風堂々』冒頭や、J.F.ワーグナー『双頭の鷲の旗の下に』、『シューベルトの子守歌』なども「三三七拍子」のリズムと親和性が高そうだ。
トルコ軍楽メフテルの名曲『ジェッディン・デデン』においては、「三三七拍子」のリズムの起源とも言うべきインパクトと存在感がある。
アニメ音楽その他と三三七拍子
アニメ音楽から選ぶ「三三七拍子」的な楽曲としては、アニメ「ムーミン」主題歌『ねぇ!ムーミン』や、ジブリ映画「となりのトトロ」エンディングテーマ『さんぽ』などが知名度が高い。
その他、料理番組「キューピー3分クッキング」テーマ曲も「三三七拍子」のリズムがはっきりと感じ取れる。
このほかにも、きっと様々な「三三七拍子」的楽曲が世の中に存在することだろう。日頃から意識して探してみると、何か面白い発見があるかもしれない。
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