里の秋 歌詞の意味 原詩
静かな静かな里の秋 栗の実煮てます いろりばた
『里の秋(さとのあき)』は、斎藤信夫作詞、海沼 實(かいぬま みのる)作曲による日本の童謡・抒情歌。1945年12月にラジオ番組で放送された。
歌詞は、斎藤信夫がまだ国民学校の教師をしていた1941年(昭和16年)12月に作詩された『星月夜』(ほしづきよ)が原詩となっている。
原詩『星月夜』は4番まであり、1番と2番は現在の『里の秋』と同じ。
このページでは、まず『里の秋』の歌詞と意味を簡単に解説したうえで、原詩『星月夜』についても簡単に確認してみたい。
【YouTube】里の秋
『里の秋』歌詞と意味
まず、斎藤信夫作詞『里の秋』の歌詞を次のとおり引用して、その内容や意味を簡単に確認してみよう。
しずかなしずかな 里の秋
お背戸(せど)に木の実の 落ちる夜は
ああ かあさんと ただ二人
栗の実煮てます いろりばたあかるいあかるい 星の空
なきなき夜鴨(よがも)の 渡る夜は
ああ とうさんの あのえがお
栗の実たべては おもいだすさよならさよなら 椰子の島
お舟にゆられて かえられる
ああ とうさんよ ご無事でと
今夜もかあさんと 祈ります
「背戸(せど)」とは、家の裏口、裏門、家の後ろの方、裏手などの意味がある。
「いろりばた(囲炉裏端)」とは、日本の伝統家屋に見られる炉の一種「囲炉裏(いろり」のそば、周りのこと。
写真:囲炉裏(出典:Wikipedia)
「椰子の島」とは、ヤシの木が生息する熱帯・亜熱帯の島々。ここでは特に戦地となった東南アジアの島々を意味する。
「かえられる」は、「帰る」の尊敬表現。父親が戦地から日本へ引き揚げる様子が描写されている。
原詩『星月夜』について
次に、斎藤信夫が1941年(昭和16年)12月に作詩した原詩『星月夜』(ほしづきよ)の歌詞を次のとおり引用し、『里の秋』の歌詞との違いを簡単に確認してみたい。
しずかなしずかな 里の秋
お背戸に 木の実の落ちる夜は
ああ かあさんとただ二人
栗の実煮てます いろりばた明るい明るい 星の空
鳴き鳴き 夜鴨の渡る夜は
ああ とうさんのあの笑顔
栗の実 食べてはおもいだすきれいなきれいな 椰子の島
しっかり守って くださいと
ああ とうさんの ご武運を
今夜もひとりで 祈ります大きく大きく なったなら
兵隊さんだよ うれしいな
ねえ かあさんよ 僕だって
かならずお国を まもります
1番と2番は現在の『里の秋』と同じで、3番・4番が戦時を反映した内容となっている。
4番は削除され、3番は戦地から引き揚げる内容に修正したうえで、『里の秋』3番として使われている。
ちなみに、戦後に歌詞が修正された童謡・唱歌としては、『われは海の子』、『汽車ポッポ(兵隊さんの汽車)』などが有名。
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