ローソク出せの歌(ローソクもらい)

なぜ七夕にローソクを欲しがるの?意味・理由・由来は?

『ローソク出せの歌』は、北海道七夕(たなばた)行事「ローソクもらい」において、子供たちが歌うわらべうた。単に『ローソク出せ』とも呼ばれる。

「ローソクもらい」はハロウィンに似た行事で、子供たちは七夕の夜に近所の家々の玄関先で『ローソク出せの歌』を歌い、大人からお菓子を貰って近所を回り歩く。

ローソクもらい

写真:函館のローソクもらいの様子(出典:ブログ「函館・青柳町暮らし」)

『ローソク出せの歌』の歌詞には地域によって若干のバリエーションがある。主な歌詞をまとめてみた。

ところで、なぜ七夕にローソク(ろうそく)を欲しがるのか?その意味・理由・由来は?

それは津軽地方のねぶた祭りに使うためのローソク集めだったとの説がある。「ラッセーラー」の語源とも関連する(詳細は後述)。

なお、七夕(たなばた)行事一般については、こちらの「七夕 たなばた 起源・由来 物語・ストーリー」でまとめているので是非参照されたい。

【YouTube】 北海道の七夕(8/7)の「ローソク出せ♪」

【YouTube】ろうそく出せ

歌詞『ローソク出せ』

ローソク出ーせー 出ーせーよー
出ーさーないとー かっちゃくぞー
おーまーけーにー 噛み付くぞー

補足

「かっちゃくぞー」や「噛み付くぞー」は、「ひっかくぞー」「喰い付くぞー」などとも歌われ、順番も様々。「かっちゃく」は北海道弁で「引っ掻く」の意味

歌詞『竹に短冊』

その1

竹に短冊 七夕祭り
大いに祝おう
ローソク一本頂戴なー

その2

竹に短冊 七夕祭り
多い(追い)は嫌よ
ローソク一本頂戴なー

その3

竹に短冊 七夕祭り
おーいやいやよ
ローソク一本頂戴なー

歌詞『今年豊年』

その1

今年豊年 七夕祭り
寝ても起きても
けねうぢ 動かね

<「げねうぢ」は北海道弁で「くれないうちは」の意味>

その2

ことーしゃ 豊年七夕祭りよ
おーいやいやよ
ローソク出ーせー 出ーせーよ
出ーさーねーばー かっちゃぐどー
おーまーけーにー どんずぐどー

<「どんずく」とは北海道弁で「つつく」の意味>

その3

ことーしゃ 豊年七夕祭りよ
おーいやいやよ
ローソク一本ちょうだいなー
出ーさーねーばー かっちゃぐどー
おーまーけーにー どんずぐぞー

ねぶたに使うローソク集めだった?

「青森ねぶた」や「弘前ねぷた」に代表される東北地方の「ねぶた」祭りは、かつて七夕の時期におこなれていた。

暗闇に明るく輝く巨大な山車灯籠(だしとうろう)では、かつて光源として大量のローソクの明かりが用いられていた。

ねぶた 山車灯籠

写真:浅虫ねぶた 山車灯籠 2012年(出典:Wikipedia)

ねぶたの山車灯籠に使う大量のローソクを集めるため、かつて東北地方の集落では近所の家々を廻って、ローソクや寄付を募っていたという。

これが北海道での「ローソクもらい」や『ローソク出せの歌』の起源・由来と考える説があるようだ。

ねぶたの掛け声との関係も?

ねぶたの有名な掛け声に「ラッセラー ラッセラー」があるが、一説によれば、これは「「ろうそく出せ 出せ 出せよー」の「出せよー」がなまったものだという。

同じく、掛け声の「イッペーラーセー」は「いっぱい出ーせー」、「ヤーヤドー」は「おー いやいやよー」に由来するとのこと。

ねぶたとローソクもらいの関連付けは、筋が通っていて非常に興味深い説だ。

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