宮津節 歌詞の意味 京都の民謡

二度と行こまい丹後の宮津 縞の財布が空になる

「二度と行こまい丹後の宮津」が歌い出しの『宮津節(みやづぶし)』は、京都府宮津市の港町で江戸時代から花柳界で歌われていたお座敷歌。

入船出船でにぎわった港町・宮津港には、かつて江戸・吉原を模した遊廓(ゆうかく)が軒を並べていた。

各地の船乗りや商人たちが宮津の遊廓で散財した結果、「二度と行こまい丹後の宮津 縞の財布が空になる」と泣き言を言って旅立って行ったという歌詞。

天橋立 京都府宮津市

写真:天橋立(京都府宮津市/出典:Wikipedia)

『宮津節』は船乗りや商人によって全国各地へ伝えられ、江戸末期には日本中の花柳界で流行したという。

現代では、宮津市の無形民俗文化財「宮津おどり」の一曲として使われ、夏の盆踊りでの市民総踊りの曲としても親しまれている。

なお、『宮津節』の歌詞に関連する宮津の観光スポット・智恩寺と知恵の餅については後述する。

【YouTube】宮津節

【YouTube】 宮津節の踊り

主な歌詞の一例

二度と行こまい丹後の宮津 縞の財布が空になる

 <唄ばやし>丹後の宮津でピンと出した

空の財布が思いの種で 二度行くまいとて三度来た

二度行こまいとは昔の唄よ 二度も三度も寄りゃしゃんせ

天橋立(あまのはしだて)日本一よ 文殊菩薩に智恵の餅

ピンと出した

「丹後の宮津でピンと出した」の「ピン」の意味については、「ピンからキリまで」のピンや「べっぴん」のピン、「三味線の音」の音など、諸説あり確定的ではない。

ちなみにピンキリのピンは、ポルトガル語の「pinta(点)」に由来しており、ダイス(サイコロ)の1の目から「第一番目」、「最上のもの」を意味している。

智恩寺と文殊菩薩

京都府宮津市の切戸(きれと)にある智恩寺(ちおんじ)は、「三人寄れば文殊の知恵」で知られる文殊菩薩を本尊としており、「切戸の文殊」、「九世戸(くせど)の文殊」、「知恵の文殊」などと呼ばれる。

智恩寺 京都府宮津市

写真:智恩寺(京都府宮津市/出典:ホトカミ)

奈良県桜井市の安倍文殊院(安倍文殊)、山形県高畠町の 大聖寺(亀岡文殊)などとともに日本三文殊のひとつとされる。

知恵の餅

『宮津節』の歌詞にも歌われる「知恵の餅」とは、智恩寺門前に並ぶ四軒茶屋(吉野茶屋・彦兵衛茶屋・勘七茶屋・ちとせ茶屋)で味わえる天橋立名物。

知恵の餅 文珠荘 勘七茶屋

鎌倉時代から続く歴史あるお餅で、「知恵の餅」を食べれば文殊の知恵を授かれるご利益があるという。

写真:知恵の餅(文珠荘 勘七茶屋/出典:天橋立観光ガイド)

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