江刺甚句 歌詞と意味 甚句踊り
岩手県奥州市江刺に江戸時代から伝わる甚句踊り
『江刺甚句』(えさしじんく)は、岩手県奥州市江刺(えさし)に伝わる岩手県民謡。昭和初期に赤坂小梅がレコード収録している。
毎年5月の「江刺甚句まつり」では、『江刺甚句』に合わせて踊りながらパレードを行う甚句踊り(行進甚句)が実施される。
写真:江刺甚句まつりのパレード(出典:江刺甚句まつり実行委員会)
江刺甚句踊りは、江戸時代の伊達藩の頃からその原型が伝わる歴史ある踊りで、江刺では酒宴・酒席での座敷踊りや盆踊りで踊られる。
踊り方は、男女向かい合わせで踊る「組甚句」と、パレードで踊られる「行進甚句」の二つがある。
【YouTube】江刺甚句まつり 江刺甚句大パレード
【YouTube】 江刺甚句 踊り方・振り付け
歌詞の一例
一、
甚句踊りは 門(かど)まで来たや
(チョイサノサッサ チョイサノサッサ)
じいさま出てみろ アリャ 孫つれて
(チョイサノサッサ チョイサノサッサ)
<以下、唄ばやし省略>
二、
この家座敷は めでたい座敷
鶴と亀とが アリャ 舞い遊ぶ
三、
甚句踊らば 品良く踊れ
品の良いのを アリャ嫁にとる
四、
めでたうれしや 思ふことかのうた
四つのすみから アリャ 黄金わく
五、
甚句踊りの 江刺の里は
味がじまんの アリャ米どころ
歌詞の意味
『江刺甚句』一番と二番の歌詞を見ると、この歌には「門付(かどづけ)」の要素が唄い込まれていることが分かる。
門付(かどづけ)とは、大道芸人が裕福な家の門口(かどぐち)で芸を行い、家の主人から投げ銭・金銭を受け取る伝統芸能のこと。主に江戸時代に盛んにおこなわれた。
少しでも多くお金をもらえるように、門付芸人は家の主人を必死にべた褒め・ヨイショする。『江刺甚句』の歌詞で言うと、二番の歌詞がその「べた褒め・ヨイショ」にあたる。
門付が唄い込まれた民謡としては、「この家旦那様は 俵積みが大好きで♪」が歌い出しの青森県民謡『南部俵積み唄』が特に有名。
品の良いのを嫁にとる
「品の良いのを嫁にとる」の部分については、日本各地の民謡・盆踊り歌で同様のフレーズが登場する。例えば、岩手県のお祭り『盛岡さんさ踊り』では、次のような歌詞で歌われることがある。
サッコラチョイワヤッセー
さんさ踊らばヤハエ
品よく踊れ
(サッコラチョイワヤッセー)
品のよいのを
嫁にとるサンサエー<歌詞:『盛岡さんさ踊り』より>
また、「エライヤッチャ エライヤッチャ ヨイヨイヨイヨイ」の掛け声で知られる『阿波踊り』でも、同様の歌詞で歌われる場合がある。
エライヤッチャ エライヤッチャ
ヨイヨイヨイヨイ踊り踊らば 品良く踊れ
品の良い娘を 嫁にとる<歌詞:徳島県民謡『阿波踊り』より>
思ふことかのうた
四番の歌詞にある「思ふことかのうた」とは、「思っていることが叶った、願い事がかなった」の意味。
関連ページ
- 江差追分 えさしおいわけ
- 北海道・渡島半島の日本海沿岸に位置する江差町が発祥の北海道民謡。
- 南部俵積み唄
- この家旦那様は 俵積みが大好きで♪
- 都道府県別の民謡・ご当地ソング
- 「会津磐梯山」、「草津節」、「ソーラン節」、「ちゃっきり節」など、日本全国各地の地元に根付いた地方の民謡、地名の入った歌