こんにちは赤ちゃん 歌詞と解説

はじめまして わたしがママよ/元の歌詞はママじゃなくてパパ?!

『こんにちは赤ちゃん』は、1963年(昭和38年)にリリースされた日本の歌謡曲。作詞:永六輔、作曲:中村八大。

2006年(平成18年)に文化庁と日本PTA全国協議会が選定した「日本の歌百選」に選ばれている。

赤ちゃんとママ

オリジナルの歌詞は、中村八大の第一子生誕祝いとして永六輔から贈られた詩で、その内容はママではなくパパの心情を描写したものだった。

後に女性歌手の梓 みちよ(あずさ みちよ)の楽曲としてリリースされた際、パパの歌からママの歌に歌詞が変更された。

梓みちよは本曲で1963年第5回日本レコード大賞を受賞。同年末のNHK紅白歌合戦にも初出場を果たしている。

なお、オリジナルの父親バージョンで歌われた『こんにちは赤ちゃん』は、Amazon MP3でダウンロード入手できる

【YouTube】 こんにちは赤ちゃん 梓 みちよ

【YouTube】リリース当時の白黒映像

歌詞

こんにちは赤ちゃん
あなたの笑顔
こんにちは赤ちゃん
あなたの泣き声
その小さな手 つぶらな瞳
はじめまして わたしがママよ

こんにちは赤ちゃん
あなたの生命(いのち)
こんにちは赤ちゃん
あなたの未来に
この幸福(しあわせ)が パパの希望(のぞみ)よ
はじめまして わたしがママよ

ふたりだけの愛のしるし
すこやかに美しく 育てといのる
こんにちは赤ちゃん
お願いがあるの
こんにちは赤ちゃん
ときどきはパパと
ホラ ふたりだけの 静かな夜を
つくってほしいの おやすみなさい
おねがい赤ちゃん
おやすみ赤ちゃん わたしがママよ

グリーン・グリーンはパパではなくママ?

「ある日パパと二人で語り合ったさ」が歌い出しの『グリーン・グリーン』という曲では、ママが登場する『こんにちは赤ちゃん』とは逆に、パパが主題に据えられた内容となっている。

グリーン・グリーン ある日パパと二人で語り合ったさ

実は、この『グリーン・グリーン』には英語の原曲があり、その英語の歌詞ではパパではなくママが登場する。

すなわち、『グリーン・グリーン』ではママがパパに差し替えられ、『こんにちは赤ちゃん』ではパパがママに差し替えられるという真逆の修正が施されていることになる。

まったく無関係の2曲だが、こうして作詞の経緯を対比してみると、もはやまったくの他人事とは思えない奇妙な関係が感じられて興味深い。

モーツァルトの曲と似てる?

『こんにちは赤ちゃん』のメロディの冒頭部分については、モーツァルト『ピアノ協奏曲22番』第一楽章冒頭との類似性が指摘されることがあるようだ。

果たしてどれぐらい似ているのか?実際にYouTubeで該当する曲を聞いてみよう。

【YouTube】モーツァルト Piano Concerto No. 22

似ているといってもほんの一部で、古い曲なので著作権法上の問題も生じないが、『こんにちは赤ちゃん』に何らかの影響を与えている可能性はありそうだ。

エルガー『交響曲第1番』にも似てる?

NHKのFMラジオ番組「気ままにクラシック」では、『こんにちは赤ちゃん』に部分的に似ている曲として、エルガー『交響曲第1番』第2楽章を挙げている。

イギリスの作曲家エルガーによる『交響曲第1番』は、1907年から1908年にかけて作曲された交響曲であり、今日でもイギリスやアメリカでは演奏機会が多い楽曲。

【YouTube】エルガー『交響曲第1番』第2楽章

聞いてみると、第2楽章の冒頭部分をはじめ、曲全体に『こんにちは赤ちゃん』をほうふつとさせるメロディが何度も演奏されることが分かる。

エルガーも上述のモーツァルト『ピアノ協奏曲22番』第一楽章から影響を受けているのだろうか?

ちなみに、クラシック音楽と日本の歌謡曲とのこうした偶然の一致については、こちらの特集ページ「元ネタ・原曲・似てる曲 そっくりメロディ研究室」でまとめているので、ご興味のある方は是非参照されたい。

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