ヴィヴァルディ「四季」より「夏」
夏の空に轟く雷鳴と氷のつぶて 羊飼いの不安は現実となった
ヴィヴァルディ「四季」より『夏』(L'estate/レスターテ)は、ヴァイオリン協奏曲集『和声と創意の試み』(1725年出版)における第2番目の楽曲。
3楽章から成り、第1楽章では夏の厳しい日差しにぐったりとする人や羊が描写される。そして第2楽章から激しい雷鳴が始まり、第3楽章ではさらに雹(ひょう)も加わって穀物が被害を受けてしまう。
ヴィヴァルディ「四季」の各楽章には、14行から成るヨーロッパの定型詩「ソネット」が付されている。
このページでは、『夏』のソネット原文(イタリア語)とその意味・和訳(意訳)を掲載しておく。
【YouTube】ヴィヴァルディ「四季」より「夏」
第1楽章 アレグロ・ノン・モルト
Sotto dura Staggion dal Sole accesa
Langue l' huom, langue 'l gregge, ed arde il Pino;
Scioglie il Cucco la Voce, e tosto intesa
Canta la Tortorella e 'l gardelino.
日差しが厳しい季節
人も羊もぐったりとして
松の木も燃えそうに熱い
カッコウやキジバトの
鳴き声が聞こえる
Zeffiro dolce Spira, mà contesa
Muove Borea improviso al Suo vicino;
E piange il Pastorel, perche sospesa
Teme fiera borasca, e 'l suo destino;
優しいそよ風を突然
強い北風が払いのける
羊飼いは強風と彼の運命に震え恐れる
第2楽章 アダージョ
Toglie alle membra lasse il Suo riposo
Il timore de' Lampi, e tuoni fieri
E de mosche, e mosconi il Stuol furioso!
恐ろしい稲妻と雷鳴で
疲れた体も休まらない
ブヨやハエが激しく羽音を立てる
第3楽章 プレスト
Ah, che pur troppo i Suo timor Son veri
Tuona e fulmina il Ciel e grandinoso
Tronca il capo alle Spiche e a' grani alteri.
ああ 彼の不安は現実となった
雷鳴と雹(ひょう)で小麦が傷ついてしまった
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