舟歌 バルカロール Barcarolle
ガブリエル・フォーレ(Gabriel Urbain Fauré/1845-1924)
フランスの作曲家ガブリエル・フォーレは、その生涯にわたって13曲ものピアノ曲「舟歌 Barcarolle」を作曲してきた。
歌曲の分野でもマルク・モニエの詩を用いた『舟歌』作品7-3(1873年頃)や、ポール・ヴェルレーヌの詩による『ヴェネツィアの5つの歌曲』(1891年)などを残したフォーレにとって、「舟歌の様式はフォーレにとって最も日常的な世界であり、『舟歌』こそ人間フォーレを体現している」作品であるという(美山良夫「ガブリエル・フォーレ:ピアノ作品全集」解説より)。
ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌に由来する舟歌では、6/8拍子や9/8拍子などの複合拍子に乗せて、水面を優雅に漕ぎ行くゴンドラや波の揺れ動きなどが表現される。
フォーレ作品にしばしばみられる舟歌の要素について、フランスの哲学者ジャンケレヴィッチは、その著書「フォーレ 言葉では言い表し得ないもの…」 (新評論社)の中で、次のように分析・解説している。
フォーレは、13曲の舟歌において、水の流れを扱うその優れた手腕を通じて、原初の泉と原始の大洋とを結ぶ、すなわち、アルファからオメガへと移行してゆくような重要な大河を表現しようとしていたのではあるまいか。
<引用:ジャンケレヴィッチ「フォーレ 言葉では言い表し得ないもの…」 (新評論社)より>
なお、その他の作曲家による舟歌については、こちらの特集「舟歌 Barcarolle 有名な曲」を参照されたい。
【YouTube】フォーレ 舟歌 第1番 イ短調 作品26
【YouTube】フォーレ 舟歌 第13番 ハ長調 作品116
フォーレ「舟歌」(ピアノ曲) 全曲リスト
- 舟歌 第1番 イ短調 作品26
- Allegretto Moderato
アレグレット・モデラート
6/8拍子 1881年 - 舟歌 第2番 ト長調 作品41
- Allegretto quasi Allegro アレグレット・クアジ・アレグロ
6/8拍子 1885年 - 舟歌 第3番 変ト長調 作品42
- Andante quasi Allegretto アンダンテ・クアジ・アレグレット
6/8拍子 1885年 - 舟歌 第4番 変イ長調 作品44
- Allegretto アレグレット
6/8拍子 1886年 - 舟歌 第5番 嬰ヘ短調 作品66
- Allegretto Moderato アレグレット・モデラート
9/8拍子 1894年 - 舟歌 第6番 変ホ長調 作品70
- Allegretto vivo アレグレット・ヴィヴォ
6/8拍子 1895年 - 舟歌 第7番 ニ短調 作品90
- Allegretto Moderato アレグレット・モデラート
6/4拍子 1905年 - 舟歌 第8番 変ニ長調 作品96
- Allegretto Moderato アレグレット・モデラート
9/8拍子 1906年 - 舟歌 第9番 イ短調 作品101
- Andante Moderato アンダンテ・モデラート
9/8拍子 1908-1909年 - 舟歌 第10番 イ短調 作品104/2
- Allegretto Moderato アレグレット・モデラート
6/8拍子 1913年 - 舟歌 第11番 ト短調 作品105
- Allegretto Moderato アレグレット・モデラート
6/8拍子 1913-1914年 - 舟歌 第12番 変ホ長調 作品106bis
- Allegretto giocoso アレグレット・ジョコーソ
6/8拍子 1915年 - 舟歌 第13番 ハ長調 作品116
- Allegretto アレグレット
6/8拍子 1921年
関連ページ
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