スティリアの女 ブルグミュラー
ワルツのように軽やかなブルグミュラー練習曲
『スティリアの女(スティリアンヌ) La Styrienne』は、ブルグミュラー(ブルクミュラー)作曲によるピアノ初学者向けのエチュード『25の練習曲』第14番目のピアノ曲。
「スティリエンヌ」との表記も見られるほか、楽譜の出版社によっても邦題が異なり、例えば全音ピアノライブラリー(全音楽譜出版社)では「シュタイヤー舞曲(アルプス地方の踊り)」との曲名となっている。
写真:シュタイアーマルク州(オーストリア) レオーベン(Leoben)
「シュタイヤー」とは恐らく、アルプス山脈の東部に位置するオーストリアのシュタイアーマルク州(Steiermark)が該当する地域と思われる。「シュタイエルマルク州」とも表記され、英語名は「Styria(スティリア)」、フランス語名は「Styrie(スティリ)」。
この「シュタイヤー」のフランス語名に、「~生まれの女性、~の女性」を意味するフランス語の接尾辞「-ienne」をつけると、ブルグミュラーの練習曲と同じく「スティリエンヌ(スティリアンヌ)」となる。
ここで、「パリ(Paris)」に同じ接尾辞「-ienne」をつけると「パリジェンヌ」となり、その意味は「パリの女性」を表すことから考えると、「スティリエンヌ」は「スティリアの女性」と訳されることになる。
【YouTube】ブルグミュラー/25の練習曲 14.スティリアンヌ,Op.100
【YouTube】レントラー The Austrian Landler
シュタイヤー舞曲とは?
全音ピアノライブラリーの楽譜でタイトルとして記された「シュタイヤー舞曲」とは一体どのような民族舞踊なのだろうか?
四分の三拍子で時に「ワルツのように」と楽譜に指示が付されることもある『スティリアの女(スティリアンヌ)』は、そのルーツの一つとして、オーストリアやドイツなどの民族舞踊「レントラー」の名前が挙げられるようだ。下の写真はレントラー(YouTube動画より)。
レントラー(Ländler)は18世紀末頃まで踊られていた南ドイツの民族舞踊で、2人一組で若干アクロバティックに踊る舞踊であったが、19世紀ヨーロッパで舞踏会が一般的になると、レントラーは洗練され優雅さを帯びていき、後のワルツへと発展していったという。
YouTubeで検索してみると、レントラーと明記された動画がいくつか見つかり、男女が二人一組となってワルツのように踊る動画が確認できた。果たしてこれが「シュタイヤー舞曲」とどの程度関係してくるのかは不明だが、大まかな雰囲気をつかむには十分な資料と言えるだろう。
楽譜
全音楽譜出版社; 菊倍版 |
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