なぜサンタは赤い服?意味・由来 いつから?

赤い衣装を着るサンタクロースの由来は?赤の意味は?

なぜサンタクロースは赤い服を着ているのだろうか?赤い色の意味や由来・ルーツは?いつから赤色の衣装になった?などなど、サンタの赤について簡単に解説してみたい。

結論から言うと、サンタの赤色は、サンタクロースのモデルである聖ニコラウスなどの聖職者が着用する「祭服(さいふく)」の色の一つが元になっていると考えられる。

そして19世紀アメリカでサンタクロースのイメージが確立されると同時に、その衣装に赤色が用いられ、1931年以降コカコーラの広告によって世界的にサンタの赤が定着していった。

シンタクロース オランダ

上の写真は、サンタクロースのモデルの一つと考えられるオランダのシンタクロース(出典:Wikipedia)。聖ニコラウスをルーツとする神話的存在で、サンタの赤い衣装に大きな影響を与えている。

典礼色は4色

サンタの赤色のルーツであるキリスト教の赤い典礼色。カトリック教会や聖公会では、主に「赤、白、緑、紫」の4色の典礼色(祭色)が用いられる。

典礼の内容や時期によって色が使い分けられ、ストラ(ストール)やカズラ(チャジブル)などの祭服などの色に使われる。

赤の意味

殉教者の血と情熱、聖霊の炎を意味する。主イエスの受難日(聖金曜日)や、殉教者(聖人)のための祝日、聖霊降臨祭(ペンテコステ)などで用いられる。

枝の主日(棕櫚の主日/聖枝祭)

写真は、復活祭の一週間前の日曜日に行われる「枝の主日(棕櫚の主日/聖枝祭)」で見られる赤い典礼色(出典:Wikipedia)

なお、ネットでは、サンタクロースの赤は「血の色」であるとか、「返り血の色」である等の検索がなされることがあるようだが、血に関係しているのはあくまでもキリスト教の典礼色における赤であって、サンタクロースの赤にはこれらのような血の意味合いは無いことは言うまでもない。

白の意味

「純潔」、「喜び」、「栄光」などを表す。クリスマスを含む降誕節や、春の復活節などで使用される。祭服においては明るい金色(シャンパンゴールド)で代用される場合が多い。

緑の意味

「希望」、「成長」、「生命」、「発展」などを表す。年間を通して平常時の主日や週日に広く用いられる。

紫の意味

「悔い改め」、「慎み」、「待望」、「厳粛さ」などを表す。クリスマスイブまで約4週間続くアドヴェント(待降節/降臨節)や、イースター(復活祭)前の四旬節(大斎節)に着用される。かつてサンタの衣装はこの紫色で描かれることもあった。

クリスマスイブまで約4週間続くアドヴェント(待降節/降臨節)で用いられる紫色

写真:クリスマスイブまで約4週間続くアドヴェント(待降節/降臨節)で用いられる紫色(出典:St Margarets Community Website)。

昔のサンタは緑・青・紫

18世紀から19世紀のヨーロッパでは、サンタクロース(のルーツ的存在)は今日のような赤色ではなく、緑や紫、青や黄色、なめし皮の茶色い姿など、様々な配色の衣装で描写されることが多かった。

緑色の服を着たサンンタクロース

写真:緑色の服を着たサンンタクロース(1910年頃)

紫色の服を着たサンタクロース

写真:紫色の衣装を着たサンタクロース

これらは、上述のキリスト教における典礼色の影響を受けているものや、オーディンなど北欧神話の影響を受けているものもあるように思われる。

その後、特に19世紀アメリカにおいて、サンタクロースの衣装に赤色の傾向がみられるようになる。

1821年 赤い衣装のサンタ

赤い衣装のサンタクロースが確認できる最初期の印刷物としては、1821年にニューヨークで出版された「Old Santeclaus with Much Delight」の挿絵が知られている。

その挿絵の一部を次の通り引用する(出典:Wikipedia)。

Old Santeclaus with Much Delight 挿絵1

挿絵では、赤っぽい服を着たサンタクロースらしき人物が、一頭立てのトナカイのソリで屋根の上を飛んでいる様子が描写されている。

Old Santeclaus with Much Delight 挿絵2

こちらの挿絵では、現代版に近い赤いキャップと赤いローブのような衣服を身に着けたサンタクロースが、子供の寝室にドアから入ってきて、壁に吊るされた靴下に金貨のようなものを入れようとしている様子が描写されている。

この1821年の出版物以前にも、赤い服を着たサンタクロースが何らかの出版物に登場していた可能性は否定できないが、これがサンタの赤い服について確認できる最初期の印刷物の一つであることは間違いないだろう。

1868年 トーマス・ナストの赤いサンタ

1868年、「アメリカ漫画の父」と称えられる19世紀アメリカの画家トーマス・ナスト(Thomas Nast/1840-1902)は、赤い衣装を着たサンタクロースのイラスト「Santa Claus Sugar Plums」を作成している。

Thomas Nast "Santa Claus Sugar Plums"

写真:1868年 Thomas Nast "Santa Claus Sugar Plums"(出典:Wikipedia)

トーマス・ナストは1863年にもサンタクロースのイラストを雑誌「ハーバーズ・イラストレイテッド・マガジン」で発表しているが、それはモノクロ(白黒)で印刷されていた。

そのため、トーマス・ナストによる赤いカラーで印刷されたサンタクロースのイラストは、この「Santa Claus Sugar Plums」が初出ということになる。

その後もトーマス・ナストはクリスマス絵画集を出版するなど、19世紀アメリカにおけるサンタクロースのイメージ確立に大きな役割を果たしている。

コカコーラの広告で世界的に

1931年、米国コカ・コーラの広告に、今日知られる赤い衣装のサンタクロースが初めて採用された。

世界的大企業のコカコーラによる大規模な広告採用によって、現代的なサンタの赤い衣装が世界的な規模で拡散し定着していった。

コカコーラとサンタクロース

赤色をサンタの衣装に初めて採用したのはコカコーラではないが、コカコーラの赤がサンタの赤のルーツであるとの誤解が生まれるほど、サンタクロースを用いたコカコーラの広告戦略は成功を収めたと言えるだろう。

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