Yes, Virginia, there is a Santa Claus
サンタクロースっているんでしょうか?
100年前のニューヨークで生まれた心温まるクリスマス・ストーリー
「サンタは本当にいるの?」と子供から質問されたとき、大人は何て答えてあげるべきだろうか?
この「サンタはいるの?」問題は、日本のみならずアメリカの大人達を昔から悩ませてきた。
実際、今から100年ほど前のアメリカの新聞「ニューヨーク・サン」では、8歳の女の子から「サンタはいるんでしょうか?」との投書を受けたという。
この可愛らしい問いかけに対し、論説委員のフランシス・チャーチ(Francis Church/1839-1906)氏は、1897年9月21日付の社説の中で、優しく丁寧に一つの答えを示した。
この「ニューヨーク・サン」の心温まるストーリーは、その後アメリカ中の感動を呼んだ。日本では、偕成社より絵本「サンタクロースっているんでしょうか?」として紹介され、2001年まで85刷を超えるロングセラーとなっている。
原文:サンタクロースっているんでしょうか?
DEAR EDITOR: I am 8 years old.
Some of my little friends say
There is no Santa Claus.
「こんにちは、しんぶんのおじさん。 わたしは八さいのおんなのこです。じつは、ともだちがサンタクロースはいないというのです。」
"Papa says, 'If you see it in THE SUN it's so.'
"Please tell me the truth; is there a Santa Claus?"VIRGINIA O'HANLON.
"115 WEST NINETY-FIFTH STREET."
「パパは、わからないことがあったら、サンしんぶん、というので、ほんとうのことをおしえてください。サンタクロースはいるのですか?」
ヴァージニア・オハンロン
東95番通り 115
VIRGINIA, your little friends are wrong.
They have been affected by the skepticism of a skeptical age. They do not believe except [what] they see.
They think that nothing can be which is not comprehensible by their little minds.
ヴァージニア、それは友だちの方がまちがっているよ。きっと、何でもうたがいたがる年ごろで、見たことがないと、信じられないんだね。自分のわかることだけが、ぜんぶだと思ってるんだろう。
All minds, Virginia, whether they be men's or children's, are little. In this great universe of ours man is a mere insect, an ant,
でもね、ヴァージニア、大人でも子どもでも、ぜんぶがわかるわけじゃない。この広いうちゅうでは、にんげんって単なる虫のように小さな小さなものなんだ。
in his intellect, as compared with the boundless world about him, as measured by the intelligence capable of grasping the whole of truth and knowledge.
ぼくたちには、この世界のほんの少しのことしかわからないし、ほんとのことをぜんぶわかろうとするには、まだまだなんだ。
Yes, VIRGINIA, there is a Santa Claus. He exists as certainly as love and generosity and devotion exist, and you know that they abound and give to your life its highest beauty and joy.
じつはね、ヴァージニア、サンタクロースはいるんだ。愛とか思いやりとかいたわりとかがちゃんとあるように、サンタクロースもちゃんといるし、愛もサンタクロースも、ぼくらにかがやきをあたえてくれる。
Alas! how dreary would be the world if there were no Santa Claus. It would be as dreary as if there were no VIRGINIAS.
もしサンタクロースがいなかったら、ものすごくさみしい世の中になってしまう。ヴァージニアみたいな子がこの世にいなくなるくらい、ものすごくさみしいことなんだ。
There would be no childlike faith then, no poetry, no romance to make tolerable this existence.
サンタクロースがいなかったら、むじゃきな子どもの心も、詩をたのしむ心も、人を好きって思う心も、ぜんぶなくなってしまう。
We should have no enjoyment, except in sense and sight. The eternal light with which childhood fills the world would be extinguished.
みんな、何を見たっておもしろくなくなるだろうし、世界をたのしくしてくれる子どもたちの笑顔も、きえてなくなってしまうだろう。
Not believe in Santa Claus! You might as well not believe in fairies! You might get your papa to hire men to watch in all the chimneys on Christmas Eve to catch Santa Claus,
サンタクロースがいないだなんていうのなら、ようせいもいないっていうんだろうね。だったら、パパにたのんで、クリスマスイブの日、えんとつというえんとつぜんぶに、人を見はらせて、サンタクロースが来るかどうかたしかめてごらん。
but even if they did not see Santa Claus coming down, what would that prove? Nobody sees Santa Claus, but that is no sign that there is no Santa Claus.
サンタクロースが来なかったとしても、なんにもかわらない。だってサンタクロースは見た人なんていないし、サンタクロースがいないっていうしょうこもないんだから。
The most real things in the world are those that neither children nor men can see. Did you ever see fairies dancing on the lawn?
だいじなことは、だれも見た人がいないってこと。ようせいが原っぱであそんでいるところ、だれか見た人っているかな?
Of course not, but that's no proof that they are not there. Nobody can conceive or imagine all the wonders there are unseen and unseeable in the world.
もちろん、いないよね、でも、いないってしょうこもない。世界でだれも見たことがない、見ることができないふしぎなことって、ほんとうのところは、だれにもわからないんだ。
You may tear apart the baby's rattle and see what makes the noise inside, but there is a veil covering the unseen world which not the strongest man, nor even the united strength of all the strongest men that ever lived, could tear apart.
あのガラガラっておもちゃ、中をあければ、玉が音をならしてるってことがわかるよね。でも、ふしぎな世界には、どんな強い人でも、どんな強い人がたばになってかかっても、こじあけることのできないカーテンみたいなものがあるんだ。
Only faith, fancy, poetry, love, romance, can push aside that curtain and view and picture the supernal beauty and glory beyond.
むじゃきな心とか、詩をたのしむ心、愛とか、人を好きになる心だけが、そのカーテンをあけることができて、ものすごくきれいでかっこいい世界を見たり、えがいたりすることができるんだ。
Is it all real? Ah, VIRGINIA, in all this world there is nothing else real and abiding.
うそじゃないかって?ヴァージニア、これだけはいえる、いつでも、どこでも、ほんとうのことだって。
No Santa Claus! Thank God! he lives, and he lives forever. A thousand years from now, Virginia, nay, ten times ten thousand years from now, he will continue to make glad the heart of childhood.
サンタクロースはいない? いいや、ずっと、いつまでもいる。ヴァージニア、何千年、いやあと十万年たっても、サンタクロースはずっと、子どもたちの心を、わくわくさせてくれると思うよ。
<日本語訳:大久保ゆう>
※その後、ヴァージニアはニューヨークの学校の先生になって、47年間子どもたちを教えつづけたという。
書籍版
写真:サンタクロースっているんでしょうか?
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