河口 合唱組曲「筑後川」より
学校の合唱コンクールや卒業式シーズンに歌われる定番合唱曲
「フィナーレをこんなにはっきり予想して」が歌い出しの合唱曲『河口』(かこう)は、1968年に初演された混声合唱曲「筑後川」の最終曲(第5楽章)。
作詞:丸山豊、作曲:團 伊玖磨。福岡県の久留米音協合唱団による委嘱作品として作曲された。
【YouTube】混声合唱組曲 筑後川 Ⅴ.河口 歌詞付き
卒業式シーズンの合唱曲にも
歌詞では、「終曲(フィナーレ)」、「さようなら」、「川は下る 有明の海へ」など、別れや旅立ちと関連するキーワードが用いられ、卒業式シーズンに歌う合唱曲としても定番となっている。
もともと福岡県久留米市の合唱団向けに作曲された合唱曲なので、歌詞には「筑後平野」「筑後川」「有明の海」といった福岡県の地名・固有名詞が登場するが、特に福岡県内の学校に限定されることなく、日本全国の学校で合唱コンクールや卒業式関連の行事などで歌われる機会があるようだ。
卒業式関連の合唱曲という観点から歌詞を改めてみてみると、「水底のかわいい魚たち」、「岸辺のおどけた虫たち」、「中洲のかれんな小鳥たち」といった表現が、まるで学校の個性豊かな生徒達を暗示しているようで、卒業ソングとしての親和性の高さをうかがわせる。
写真:筑後川流域に棲息するカササギ(国の天然記念物/出典:wikipedia)。
ただ、半世紀前に作曲された古い曲であり、成人から構成されるプロの合唱団向けの合唱曲なので、これを中学校や高校の生徒たちが歌うには若干の難しさが伴うことは想像に難くない。歌詞の味わいを実感できるのも年齢的にまだ先のことだろう。
また、そもそも福岡県の地元愛・自然愛に基づくご当地ソングであることから、他の都道府県の生徒たちにとっては、心理的な距離感というか他人感というか、若干ピンとこない感覚があることも否定できないだろう。
これらの点にも関わらず、その個性的な楽曲の魅力は色あせることなく、合唱曲『河口』は日本全国の学校で今日でも歌い継がれている。実際、慣れるととてもクセになる味わい深い合唱曲だ。
今後も年代や地域を越え、合唱コンクールや卒業式における定番曲の一つとして広く親しまれていくことだろう。
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