小正月こしょうがつ由来と行事

正月・新年の行事／年中行事・年間行事カレンダー

小正月（こしょうがつ）とは、1月15日を中心に行われる正月行事。元日を大正月と呼ぶのに対する名称。

小正月の行事としては、この日の朝に小豆粥（あずきがゆ）を食べる、餅花（もちばな）・繭玉（まゆだま）を飾る、神社で正月飾りや古いお札などを燃やす（どんと焼き）、などが行われる。農業に関連する行事が多い。

小豆粥（出典：京都丹後・旅の宿「万助楼」webサイト）

小正月の由来としては、西角井正慶編「年中行事事典」（東京堂出版）によれば、中国式の太陰太陽暦が導入される以前、望（もち）の日（旧暦の満月の日）を月初としていたことの名残りと考えられているようだ。

小正月に小豆粥（あずきがゆ）を食べる行事は、古い中国の風習に由来しているという。中国ではかつて冬至の際に小豆粥を食す風習があり、六朝時代の中国南部では1月15日に豆粥が供されていた。それが日本に伝わり、小正月の風習として定着したとのこと。

また、望（もち）の日（旧暦の満月の日）の行事ということもあり、小豆粥にお餅（もち）を入れたり、モチを入れた小豆雑煮にする風習もあったようだ。

小正月に飾る餅花（もちばな）、または花餅（はなもち）とは、稲穂をイメージしたヤナギ・ヌルデなどの木に、小さく切った餅や団子をさして飾るもの。ここから、小正月は「花正月」とも呼ばれる。一年の五穀豊穣を祈願する意味合いがある。

餅が使われるのは、小正月が望（もち）の日（旧暦の満月の日）の行事であることと決して無関係ではないだろう。

米の粉をカイコの繭のかたちにした「繭玉」（まゆだま）を用いる地域もある。江戸時代に盛んに行われていた養蚕業の名残であろう。

年賀の挨拶客や親戚の接待などで正月も休めなかたった女性たちが、ようやく一息ついて迎えられる安息の日として、1月15日は「女正月」とも呼ばれる。

この「女正月」の名称は、1月15日までを松の内（松飾りを飾る期間）とする関西地方に多く残っている。関東の松の内は1月7日まで。

ちなみに、なぜ関東と関西で松の内の期間が違うのかについては、こちらのページ「具足祝い・具足開き」の「刃柄の祝い」の項目を参照されたい。

かつて武家社会の頃には、小正月に元服の儀（げんぷくのぎ）が行われていた。1948年、その歴史・由来的なつながりから、1月15日が国民の祝日「成人の日」として定められ、正月・小正月ともに祝日となった期間が半世紀近く続いた。

しかしその後、高度経済成長による都市化や核家族化などの影響で、小正月の文化はなじみの薄いものとなったこともあり、2000年に祝日に関する法律が改正され、国民の祝日としての「成人の日」は1月第2月曜日の移動祝日となった。

2000年以降は、変わらず1月15日を小正月として行事を行う地域や、移動した祝日「成人の日」に合わせて小正月の行事を行う地方など、場所によってその対応は異なるようだが、古くからの伝統文化がこうして大切に今日まで受け継がれているのは大変興味深いことだ。