学校のチャイム 作曲者は誰?
ルーツは18世紀イギリス・ケンブリッジ大学
「キーンコーンカーンコーン(キンコンカンコン)」と授業の開始と終了を告げる学校のチャイム。このシンプルなメロディは、一体誰が作曲して、どのように日本の小中学校などに伝わっていったのだろうか?
学校のチャイムのルーツ・由来は、18世紀のイギリス・ケンブリッジ大学で使われた教会の鐘の音にあるという。詳しく見てみよう。
グレート・セント・メアリー教会の鐘
イギリス・ケンブリッジ大学の中心部にあるキングス・カレッジの近くには、歴史ある大きな教会「グレート・セント・メアリー教会」が威風堂々とそびえたっている。
1793年または1794年、改修工事でグレート・セント・メアリー教会に新しい時計が取り付けられた際、新たに時を告げる鐘のメロディとして、今日の日本で「学校のチャイム」として知られるあのメロディが採用された。
作曲者は10代の学生?
メロディの作曲者については諸説あるようだが、当時まだ10代の音楽家ウィリアム・クロッチ(William Crotch/1775-1847)が作曲したとする説が有力なようだ。
ウィリアム・クロッチは10代前半の頃から、当時のケンブリッジ大学音楽科教授ジョン・ランドール(John Randall/1715–1799)の助手としてケンブリッジで活動していた。
1793年にグレート・セント・メアリー教会が改修された当時はオックスフォード大学の教会のオルガニストを勤めていたが、古巣ケンブリッジの教会のために、新たにメロディを作曲したと考えられている。
なお、メロディの由来については、1742年に作曲されたヘンデル『メサイア』第3部の楽曲がアレンジされた可能性を指摘する説もあるようだ。
ロンドン時計台「ウェストミンスターの鐘」へ
その後60年以上経過した1859年、ロンドンのウェストミンスター宮殿にある時計塔ビッグ・ベンが初めて鐘を鳴らした。そのメロディは、1793年にグレート・セント・メアリー教会が鳴らし始めた「学校のチャイム」の旋律だった。
ビッグ・ベンの鐘の音は新たに『ウェストミンスターの鐘』と命名され、現代のイギリスでもそのメロディを奏で続けている。当時はイギリスを象徴するメロディとして、英国放送協会(BBC)のラジオでもよく流されていたようだ。
日本の小中学校のチャイムへ
日本の小中学校に『ウェストミンスターの鐘』が初めて導入されたのは戦後の1950年代。東京都大田区立大森第四中学校では、授業開始・終了のベルがよく故障していたため、新たなチャイムとして、すでに他の産業機器やオルゴールなどでよく知られていた『ウェストミンスターの鐘』のメロディを採用したという。
その後全国の小中学校のチャイムとして普及し、今日まで定番の「学校のチャイム」として定着している。
関連ページ
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- ロンドンのウェストミンスター宮殿にある時計塔ビッグ・ベンの鐘の音。英語の歌詞と日本語訳も。
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- 冒頭の曲のメロディがアレンジされた可能性があるようだ