森の水車 コトコトコットン

緑の森の彼方から 陽気な唄が聞こえましょう あれは水車の廻る音

「コトコトコットン コトコトコットン」のフレーズで愛唱される『森の水車』は、1942年(昭和17年)にレコードで発売された歌謡曲。

戦中は時代の風潮と合わず受け入れられなかったが、1951年(昭和26年)、第2回NHKのど自慢全国大会で優勝したNHK専属歌手の荒井恵子がNHKラジオ歌謡で『森の水車』を歌うと、次第に人気が高まっていった。

写真:大王わさび農場の水車小屋(長野県安曇野)

作曲は、水前寺清子『三百六十五歩のマーチ』、美空ひばり『リンゴ追分』、『ヤン坊・マー坊の唄』などを手掛けた米山正夫(1912-1985)。

作詞は、『月がとっても青いから』、『星の流れに』などで知られる作詞家・清水みのる(1903-1979)。出身地の静岡県浜松市西区伊左地町には、『森の水車』を記念した森の水車公園が設けられ、同氏の功績を讃えている。

ドイツの楽曲 『Die Mühle im Schwarzwald』(黒い森の水車)

さて、世界の名曲を幅広くご紹介している当サイトとしては、日本の名曲『森の水車』と関連して是非とも取り上げておきたい海外の比較的有名な楽曲がある。

それは、ドイツの作曲家リヒャルト・アイレンベルク(Richard Eilenberg/1848-1927)による1885年の楽曲『Die Mühle im Schwarzwald』(ディ・ミューレ・イム・シュバルツバルト)である。

曲名の「Die Mühle ディ・ミューレ」はこの曲では「水車」の意、「Schwarzwald シュバルツバルト」は「黒い森」の意、全体で「黒い森の水車」と訳されるだろうか。英語では『The Mill In The Black Forest』。

米山正夫作曲『森の水車』との関係は?

ドイツの楽曲『Die Mühle im Schwarzwald』(黒い森の水車)は、YouTubeにも様々なアレンジの動画がいくつか上がっているので是非とも一度聴いてみていただきたいのだが、一度聞けばお分かりの通り、米山正夫作曲による日本の歌謡曲『森の水車』と部分的にまったく同じメロディが随所に登場する。

具体的には、両曲の冒頭部分の主旋律が部分的にほぼ一致、そして『森の水車』の1番終了直後の間奏部分で、『Die Mühle im Schwarzwald』の主要なメロディがほぼそのまま登場する。以下は、主旋律が一致すると思われる冒頭部分の楽譜抜粋である。

本当にドイツの楽曲を引用?

『Die Mühle im Schwarzwald』(黒い森の水車)と、日本の歌謡曲『森の水車』との関係性について、客観的に記述された参考書籍等を実際に確認したわけではないが、メロディの部分一致、そして曲名やテーマの類似性から考えても、おそらくこの2曲は何らかの関係にある(可能性がある)と考えられる。

作曲された時期は、もちろん日本の『森の水車』が50年以上後であることからして、どちらがどちらを引用した可能性があるのかについては、第三者による証明を待たずして明らかであろう。

『Die Mühle im Schwarzwald』は日本ではそれほど知名度が高いわけではないので、類似性について指摘される機会は今後もそれほど多くはないだろうが、タイトルも似た日独の2曲は実はこんな関係にあるのかもしれない、ということを頭の片隅に置いておくだけでも、色々な意味で音楽を鑑賞する楽しみが膨らみそうだ。

なお、このドイツの楽曲に限らず、筆者は『森の水車』を聞くと、「かえるの歌が聞こえてくるよ」でお馴染みの日本の童謡『かえるの合唱』を必ず思い出してしまう。逆もまたしかり。これについては、おそらく賛同者は限りなく少ないだろう(笑)。

そっくりメロディの世界へ!

当サイト「世界の民謡・童謡」の音楽ネタ的コンテンツ「元ネタ・原曲・似てる曲 洋楽・邦楽 そっくりメロディ 試聴・比較」では、この『森の水車』のように、ある曲とそっくりなメロディが登場する様々な楽曲について、邦楽から洋楽、クラシック音楽まで幅広く取り上げているので、是非一度お立ち寄りいただきたい。

日本の民謡・童謡・唱歌 歌詞と視聴

【試聴】森の水車 島田祐子

【試聴】DIE MÜHLE IM SCHWARZWALD (トランペット版)

【試聴】Duo Bex Menten-"Die muhle im Schwarzwald"