牧場の朝 まきばのあさ

日本の唱歌/日本最初の国営牧場「岩瀬牧場」が歌のモデル

「鐘が鳴る鳴る かんかんと」のフレーズが印象的な文部省唱歌『牧場の朝』(まきばのあさ)は、福島県にある日本最初の国営牧場「岩瀬牧場」がモデルとされている。

写真:岩瀬牧場(福島県岩瀬郡鏡石町)

作曲は、東京音楽学校の教授・バリトン歌手の船橋栄吉(ふなはし えいきち/1889-1932)。作詞は、朝日新聞社の記者で「アサヒグラフ」創刊に携わった杉村楚人冠(すぎむら・そじんかん/1872-1945)。

1968年8月から9月のNHK「みんなのうた」では、東京少年少女合唱隊による合唱アレンジにより『牧場の朝』がアニメーション付きで放送された。

駅のホームで流れる『牧場の朝』

JR東日本では、千葉県松戸市小金の北小金駅(きたこがねえき)、東京都北区の赤羽駅、埼玉県久喜市の久喜駅(くきえき)、東京都西多摩郡瑞穂町の箱根ヶ崎駅(はこねがさきえき)などで、電車が接近する際にホームで流れる接近メロディとして、この唱歌『牧場の朝』を使用している(2013年現在)。

また、京王電鉄京王線でも一時期、接近メロディとして同曲を使用していたが、駅構内における放送機器の入れ替え・更新の際に変更され、現在では同曲を聴くことができない。

明治天皇の東北巡行から開拓がスタート

唱歌『牧場の朝』のモデルとされる「岩瀬牧場」は、明治天皇による1876年(明治9)の第一回東北巡行がきっかけとなって整備が進められた。

まだ未開の地が広がっていた福島県の原野を御覧になられた明治天皇は、側近の者にこの地の開墾についてお述べになられ、後に伊藤博文内閣により宮内省直営の開墾地所として開拓がスタートした。

オランダから贈られた友好の鐘

1907年(明治40)には、オランダ王国レーワルデンの酪農家からホルスタイン種牛13頭を輸入。日蘭友好の記念として岩瀬牧場に鐘(かね)が贈られた。

『牧場の朝』の歌詞で「鐘が鳴る鳴る かんかんと」というフレーズがあるが、これはこの時にオランダから岩瀬牧場へ贈られた「友好の鐘」が鳴り響く音だとされている。

日本の民謡・童謡・唱歌 歌詞と視聴

【試聴】歌:ダ・カーポ 『牧場の朝』

歌詞:文部省唱歌 『牧場の朝』

ただ一面に立ちこめた
牧場の朝の霧の海
ポプラ並木のうっすりと
黒い底から勇ましく
鐘が鳴る鳴る かんかんと

もう起き出した小舎小舎(こやごや)の
あたりに高い人の声
霧に包まれ あちこちに
動く羊の幾群(いくむれ)の
鈴が鳴る鳴る りんりんと

今さし昇る日の影に
夢からさめた森や山
あかい光に染められた
遠い野末に牧童の
笛が鳴る鳴る ぴいぴいと