北国の春 歌詞の意味 歌謡曲

届いたおふくろの小さな包み あの故郷へ帰ろかな 帰ろかな

「白樺(しらかば) 青空 南風♪」が歌いだしの『北国の春』(きたぐにのはる)は、1977年4月に発表された千昌夫の歌謡曲。

作詞: いではく(本名:井出 博正/いで ひろまさ/1941-)、作曲: 遠藤実(えんどう みのる/1932-2008)。

写真:尾瀬ヶ原湿原(出典:Wikipedia)

美空ひばり、八代亜紀、藤圭子、細川たかし、氷川きよしなど、数多くの歌手にカバーされたほか、中国語や台湾語のオリジナル歌詞を付けたカバー盤も多数存在する。

【YouTube】 北国の春

歌詞

まずは、『北国の春』(作詞: いではく)の歌詞を次のとおり引用し、歌詞のモデルや特徴的な植物などについて簡単に補足してみたい。

白樺 青空 南風
こぶし咲くあの丘
北国の あヽ北国の春
季節が都会では
わからないだろうと
届いたおふくろの 小さな包み
あの故郷へ 帰ろかな 帰ろかな

雪どけ せせらぎ 丸木橋
落葉松(からまつ)の芽がふく
北国の あヽ北国の春
好きだとおたがいに
言いだせないまま
別れてもう五年
あのこはどうしてる
あの故郷へ 帰ろかな 帰ろかな

山吹 朝霧 水車小屋
わらべ唄聞こえる
北国の あヽ北国の春
あにきもおやじ似で
無口なふたりが
たまには酒でも 飲んでるだろか
あの故郷へ 帰ろかな 帰ろかな

歌詞のモデル・場所はどこ?

『北国の春』の歌詞では、都会で暮らす男性が実家から届いた小包を受け取り、早春のの故郷や家族などを想う望郷の歌となっている。「あの故郷(ふるさと)へ帰ろかな 帰ろかな」のフレーズが印象的。

「北国」とは具体的にどこの県を指すのかについては、歌詞だけでは特定出来ない。作詞者のいではく氏によれば、彼の故郷である長野県南牧村や信州の情景を描いたという。

一方で、作曲者の遠藤実は、いではく氏の歌詞に基づきつつ、少年時代に疎開先として過ごした新潟県の情景をイメージしたとされている。

白樺 しらかば

『北国の春』の歌詞で冒頭に登場する「白樺(しらかば)」は、カバノキ科カバノキ属の落葉樹。名前は樹皮が白いことに由来する。長野県や北海道で多く見られる。

春に花をつけ、花粉症の原因にもなる。日本でも北海道を中心にシラカバ由来の花粉症患者数が多い。

コブシの花

歌詞で「こぶし咲くあの丘 北国の」と歌われる「こぶし」とは、モクレン科モクレン属の落葉広葉樹。

早春に他の木々に先駆けて白い花を梢いっぱいに咲かせる。

遠見だと桜に似ていること、花を咲かせる季節が桜より早いことから、ヒキザクラ、ヤチザクラ、シキザクラなどと呼ばれる。別名「田打ち桜」。

丸木橋 まるきばし

『北国の春』二番の歌詞冒頭で歌われる「丸木橋(まるきばし)」とは、丸太の側面を少し削って平面にし、それを渓流に架けただけのシンプルな橋。

丸太一本だけの綱渡りのような丸木橋から、丸太を複数本使って足場を広くし、さらに板で床を張ったものなど、様々な形がある。

写真:丸木橋(出典:じゃらん.net)

落葉松 からまつ

二番の歌詞で「落葉松の芽が吹く 北国の」と歌われる「落葉松(からまつ)」は、マツ科カラマツ属の落葉針葉樹。

日本の固有種で、北海道では明治時代からカラマツの造林が積極的に行われてきた。また、長野県でも戦後に大規模な植林が行われ、造林面積の約50%がカラマツ林となっている。

関連CD

東日本大震災で被害を被った、岩手県陸前高田市出身である千昌夫。「北国の春」をはじめとした彼の代表曲を集めたチャリティ・シングル。

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