失われた歌 チャールズ・チルトン

小学校の音楽で習うリコーダー曲/イギリス古謡?

『失われた歌』は、小学校の音楽の授業でリコーダーで演奏される器楽曲。チャールズ・チルトン作曲。シンプルで物悲しいメロディが印象的で、小学校卒業後もメロディだけは覚えているという方も少なくないと思われる。

良い曲なので詳細が知りたくなるが、小学校の音楽の教科書では単に「作曲:チャールズ・チルトン」と明記されているだけで、曲の詳細についてはまったく明らかにされていない。

【試聴】ウクレレ アンサンブル 失われた歌(チルトン)

それではと、まずはJASRACデータベースで『失われた歌』を検索してみるが、これが1件もヒットしない。登録なしだ。『失われた唄』でもダメ。

なら次は作曲者からたどるしかない。Googleで「チャールズ・チルトン Charles Chilton」を検索してみると、同名の何人か見つかったが、もっとも関係がありそうなのが、イギリスBBCでラジオの作家・プロデューサー・パーソナリティを務めていたCharles Chilton(1917–2013)という人物。

Wikipediaなどでプロフィールや経歴を見てみたが、不思議なことに、作曲家としての目立った活動がほとんど見受けられない。これは同姓同名の別人なのか?

これは人違いだと思い、次の候補へ移ろうとしたその時、この「Charles Chilton」氏には「作家」としての経歴があることに気がついた。文章を扱う人なら、自分で文章を書くのはもちろんのこと、他の人が書いた文章や曲について本を編纂することもあるだろう。

ということで、作家としてのチャールズ・チルトンの活動に注目し、過去に自己名義で出版した書籍の一覧などを確認してみると、見事にそれっぽい本が見つかった。

その書籍は、チャールズ・チルトン編「Victorian folk songs ビクトリアン・フォーク・ソングス」。1965年出版とのことで、すでに半世紀も前の古い絶版本。

ビクトリアンとは、一般的には、ヴィクトリア女王がイギリスを統治していた1837年から1901年のヴィクトリア朝を指すと考えられる。

挿絵:ヴィクトリア女王(イギリス/1819–1901)

恐らくは、ヴィクトリア朝時代に広まっていた古いイギリス歌謡や民謡を収集して編纂した資料本のようなもので、この中に『失われた歌』の原曲が掲載されている可能性がありそうだ。

仮にその書籍内に『失われた歌』の原曲があったとしても、チャールズ・チルトン自身が作曲したというわけではないだろう。

原曲の曲名については、恐らくは「失われる(忘れられる)ほど古い時代の歌」という意味合いで、日本の音楽教科書の出版社が独自につけたタイトルと思われる。

察するに、直訳すると今の時代に合わない、日本になじみがない固有名詞、または子供向けではない曲名だったのだろう。

チャールズ・チルトン編「Victorian folk songs」は中古本として流通しているようだが(値段も手頃)、本当に『失われた歌』の原曲が掲載されているか確証もなくキリがないので、この辺で筆を置くこととしたい。

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