水の上で歌う
Auf dem Wasser zu singen

シューベルト(Franz Peter Schubert/1797–1828)

『水の上で歌う Auf dem Wasser zu singen』D774(作品72)は、1823年に作曲されたシューベルト歌曲。『水の上で歌える』とも表記される。

歌詞は、ドイツの詩人でゲーテとも交流があった貴族シュトルベルク(Friedrich Leopold zu Stolberg-Stolberg/1750–1819)の詩から採られた。夕暮れの舟遊びが歌われている。

舟歌(バルカロール)を思わせる8分の6拍子のリズムに乗せて、波間をゆったりと漂う小舟と、水面に輝く夕陽のきらめきや時の流れを穏やかにしっとりと描写している。

ピアノ伴奏の32分音符により水のせせらぎが表現され、曲全体に水辺の清涼感と水面の揺らめきなどイメージがもたらされているようだ。短調から長調への転調も印象的に用いられている。

ちなみに写真は、シューベルトの祖国オーストリアの景勝地ハルシュタット(世界遺産)。観光業界の宣伝文句では「世界で一番美しい湖畔の街」などと紹介されることがある。

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【試聴】Schubert Auf dem Wasser zu singen

歌詞(ドイツ語)・日本語訳(意訳)

Mitten im Schimmer der spiegelnden Wellen
Gleitet,wie Schwäne,der wankende Kahn:
Ach,auf der Freude sanftschimmernden Wellen
Gleitet die Seele dahin wie der Kahn;
Denn von dem Himmel herab auf die Wellen
Tanzet das Abendrot rund um den Kahn.

波の上 きらめく光
白鳥のように小舟は揺れ行く
喜びに波は穏やかにきらめき
私の心も小船に乗せて
波間に降り注ぐ天からの光
船のまわりで夕陽は踊る

Über den Wipfeln des westlichen Haines
Winket uns freundlich der rötliche Schein;
Unter den Zweigen des östlichen Haines
Säuselt der Kalmus im rötlichen Schein;
Freude des Himmels und Ruhe des Haines
Atmet die Seel im errötenden Schein.

西の木立の上から
夕陽が優しく微笑み
東の木立の下では
夕陽の中で葦がそよぐ
天の喜びと木立の静寂
夕焼けに心安らぐ

Ach,es entschwindet mit tauigem Flügel
Mir auf den wiegenden Wellen die Zeit;
Morgen entschwinde mit schimmerndem Flügel
Wieder wie gestern und heute die Zeit,
Bis ich auf höherem strahlend em Flügel
Selber entschwinde der wechselnden Zeit.

露にぬれた翼 揺れる波 時は過ぎ行き
きらめく翼 朝も過ぎ行く
昨日も今日も 時は去り行く
私もいつか輝く翼で舞い上がり
変わりゆく時へ己を消し去る時まで

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