二宮金次郎 文部省唱歌

歩きスマホの弊害で立像から座像に?!

『二宮金次郎』(にのみや きんじろう)は、1911年(明治44年)刊行の「尋常小学唱歌」第二学年用で発表された文部省唱歌。作詞者・作曲者は不明。

歌詞では、江戸時代後期に活躍した二宮 尊徳(にのみや たかのり/そんとく/1787-1856)の報徳思想に基づく勤労・分度などの教えが盛り込まれている。

二宮金次郎の像

全国の小学校には、大正から昭和初期にかけて、薪を背負いながら本を読んで歩く姿の二宮金次郎の銅像や石像が建てられた。「学校の怪談」では、二宮金治郎像が夜中の小学校で校庭を駆け回るという七不思議も語られる。

ちなみに、唱歌『二宮金次郎』が掲載された「尋常小学唱歌」第二学年用には、『浦島太郎 うらしまたろう』や『ふじの山(富士山)』など、平成・令和の現代でも歌われる有名な唱歌がいくつか掲載されている。

写真:二宮金治郎像(出典:Wikipedia)

【YouTube】 文部省唱歌 二宮金次郎

歌詞

1.
柴(しば)刈り縄ない 草鞋(わらじ)をつくり
親の手を助(す)け 弟(おとと)を世話し
兄弟仲よく 孝行つくす
手本は二宮金次郎

2.
骨身を惜(おし)まず 仕事をはげみ
夜なべ済まして 手習(てならい)読書
せわしい中にも 撓(たゆ)まず学ぶ
手本は二宮金次郎

3.
家業大事に 費(ついえ)をはぶき
少しの物をも 粗末にせずに
遂には身を立て 人をもすくう
手本は二宮金次郎

歩きスマホと立像

歩きながらスマートフォンの画面を見つめて操作する「歩きスマホ」、「ながらスマホ」などが社会問題化したことを受け、読書をしながら歩く姿の二宮金次郎像も、時代に合わせて変化を迫られている。

二宮金次郎像の除幕式

2016年3月1日、日光市立南原小学校にて二宮金次郎像の除幕式が行われた(上写真:出典:下野新聞)。

そこで建立された像は、歩きながら読書している従来の立像ではなく、しっかりとした切り株に腰かけて安定した姿勢で本を読む二宮金次郎の座像だった。

この小学校以外にも、「歩きスマホ」問題を意識して二宮金次郎の座像が増え始めているという。何とも世知辛い世の中だ。

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