フニクリ・フニクラ 歌詞の意味・和訳
行こう 行こう 火の山へ!鬼のパンツは いいパンツ?
『フニクリ・フニクラ(Funiculì, funiculà)』は、イタリアのヴェスヴィオ火山にかつて存在した登山電車「フニコラーレ」の集客のために、1880年に作曲されたコマーシャルソング(CMソング)。
「鬼のパンツは いいパンツ」で有名な替え歌『鬼のパンツ』の原曲としても知られる。それとは別に日本語版の歌詞がつけられ、1961年4月にNHK「みんなのうた」で初回放送された。
写真:ナポリ湾とヴェスヴィオ火山
曲名の「フニクリ・フニクラ」とは、登山電車「フニコラーレ」の愛称。非常に急勾配なで簡素なケーブルカーだったため、オープン当初はほとんど利用客がなく、慌てて集客のためにCMソングを制作したようだ。
写真:1900年頃のフニコラーレ(出典:Wikipedia)
なお、フニコラーレは1944年3月22日の大噴火が原因で廃止され、2人用の腰掛けリフトが観光客を火口付近まで運んでいた。その後、多数の観光客に対応するため道路が整備され、リフトも1984年に廃止された。
写真:ヴェスヴィオ山とポンペイ遺跡(出典:Wikipedia)。西暦79年のヴェスヴィオ噴火で埋没した。
【YouTube】世界3大テノールが歌う「フニクリ・フニクラ」
【YouTube】盲目のテノール歌手ボチェッリが歌う「フニクリ・フニクラ」
写真:当時の登山電車フニコラーレ (出典:Vesuvioinrete.it)
一番の歌詞の意味
『Funiculi, Funicula!』
作詞:ジュゼッペ・トゥルコ(Giuseppe Peppino Turco/1846-1903)
作曲:ルイージ・デンツァ(Luigi Denza/1846-1922)
Aieressera, oi' ne',
me ne sagliette
tu saie addo'?
tu saie addo'?Addo' 'stu core
'ngrato cchiu' dispietto
farme nun po'!
farme nun po'!
昨日の夜 ねえ君
僕は登ったんだ
どこだかわかる?
どこだかわかる?
この恩知らずな心が
僕を悲しませないところさ
もうこれ以上!
もうこれ以上!
Addo' lo fuoco coce,
ma si fuie
te lassa sta!
te lassa sta!E nun te corre appriesso,
nun te struie,
'ncielo a guarda'!
'ncielo a guarda'!
そこは火が燃えているけど
もし逃げようとすれば
そのまま逃がしてくれる
そのまま逃がしてくれる
君を追いかけたり
悩ませたりしない
空を見てればいいのさ!
空を見てればいいのさ!
Jamme, jamme
‘ncoppa, jamme jà,
Jamme, jamme
‘ncoppa, jamme jà,funiculì, funiculà,
funiculì, funiculà,
‘ncoppa, jamme jà,
funiculì, funiculà!
行こう 行こう
頂上へ行こう
行こう 行こう
頂上へ行こう
フニクリ・フニクラ
フニクリ・フニクラ
頂上へ行こう
フニクリ・フニクラで!
写真:当時のヴェスヴィオ山とフニコラーレ乗り場(出典:Wikipedia)。山頂までケーブルカーが伸びているのが分かる。
二番の歌詞の意味
Ne'... jammo da la terra
a la montagna!
no passo nc'e'!
no passo nc'e'!Se vede Francia,
Proceta e la Spagna
Io veco a tte!
Io veco a tte!
麓から山の頂上まで
歩かずに!歩かずに!
フランスが見える
プローチダ島(ナポリ湾西部)や
スペインも
僕は君が見える!
僕は君が見える!
Tirato co la fune,
ditto 'nfatto,
'ncielo se va
'ncielo se vaSe va comm' 'a lu viento
a l'intrasatto,
gue', saglie sa'!
gue', saglie sa'!
ケーブルに引っ張られ
あっという間に
空へ昇っていく
空へ昇っていく
まるで風のように
走っていく
昇る!昇る!
Jamme, jamme
‘ncoppa, jamme jà,
Jamme, jamme
‘ncoppa, jamme jà,funiculì, funiculà,
funiculì, funiculà,
‘ncoppa, jamme jà,
funiculì, funiculà!
行こう 行こう
頂上へ行こう
行こう 行こう
頂上へ行こう
フニクリ・フニクラ
フニクリ・フニクラ
頂上へ行こう
フニクリ・フニクラで!
写真:当時のフニコラーレ(出典:Wikipedia)
三番の歌詞の意味
Se n' 'e' sagliuta, oi' ne',
se n' 'e' sagliuta
la capa già!
la capa già!E' gghiuta, po' e' turnata,
po' e' venuta
sta sempe cca'!
sta sempe cca'!
昇りきったよ 愛しい人
昇りきった
もう頂上だ!
もう頂上だ!
フニコラーレは昇ったら
戻って行って
またやってくる
いつもここにくるのさ!
いつもここにくるのさ!
La capa vota, vota,
attuorno, attuorno,
attuorno a tte!
attuorno a tte!Sto core canta sempe
nu taluorno
Sposammo, oi' ne'!
Sposammo, oi' ne'!
頂上は回る 回る
周りへ 周りへ
君の周りへ!
君の周りへ!
心はいつも歌っている
いつの日か
結婚しよう 愛しい人よ!
結婚しよう 愛しい人よ!
Jamme, jamme
‘ncoppa, jamme jà,
Jamme, jamme
‘ncoppa, jamme jà,funiculì, funiculà,
funiculì, funiculà,
‘ncoppa, jamme jà,
funiculì, funiculà!
行こう 行こう
頂上へ行こう
行こう 行こう
頂上へ行こう
フニクリ・フニクラ
フニクリ・フニクラ
頂上へ行こう
フニクリ・フニクラで!
写真:ヴェズヴィオ火山 火口(出典:Wikipedia)
日本語の歌詞は?
1961年にNHK「みんなのうた」で放送された『フニクリ・フニクラ』の日本語歌詞は、原曲のイタリア語の歌詞をどの程度反映した内容になっているのだろうか?
作詞:青木爽/清野協による『フニクリ・フニクラ』の日本語歌詞を次のとおり引用して、原曲との歌詞の違いなどを簡単に確認してみたい。
1.
赤い火をふくあの山へ
登ろう 登ろう
そこは地獄(じごく)の釜(かま)の中
のぞこう のぞこう登山電車ができたので
誰でも登れる
流れる煙は招くよ
みんなを みんなをいこう いこう 火の山へ
いこう いこう 火の山へ
フニクリ フニクラ
フニクリ フニクラ
誰も乗る フニクリ フニクラいこう いこう 火の山へ
いこう いこう 山の上
フニクリ フニクラ
フニクリ フニクラ
誰も乗る フニクリ フニクラ2.
暗い夜空に あかあかと
見えるよ 見えるよ
あれは火の山 ベスビアス
火の山 火の山登山電車が降りてくる
ふもとへ ふもとへ
燃える焔(ほのお)は 空に映(は)え
輝く 輝くいこう いこう 火の山へ
いこう いこう 火の山へ
フニクリ フニクラ
フニクリ フニクラ
誰も乗る フニクリ フニクラいこう いこう 火の山へ
いこう いこう 山の上
フニクリ フニクラ
フニクリ フニクラ
誰も乗る フニクリ フニクラ
冒頭の歌詞を見ただけでも、日本語の歌詞では原曲とは異なるオリジナルのストーリーが展開されていることが分かる。
1961年に放送する歌としては、1880年の登山電車はもう目新しいものではないので、歌を特徴づける題材として、登山電車ではなく、ヴェズヴィオ火山そのものに焦点を当てたのだろう。
歌詞の「ベスビアス」は、ヴェズヴィオ火山を意味している。長い歴史の中で、何度か大規模な噴火を起こしており、歌詞でも「赤い火をふくあの山へ」とヴェズヴィオ火山の恐ろしさが強調されている。
挿絵:イギリスの画家ジョセフ・ライト(Joseph Wright of Derby)が描いたヴェズヴィオ火山の噴火(出典:Wikipedia)
最も新しい噴火は1944年3月22日のもので、サン・セバスティアーノ村を埋没させた。その後、ヴェスヴィオ山は噴火していない。
鬼のパンツはいいパンツ?
『フニクリ・フニクラ』のメロディを聴くと、思わず童謡『鬼のパンツ』の歌詞を口ずさみたくなる・・・という方は少なくないはずだ。
「鬼のパンツは いいパンツ つよいぞ つよいぞ♪」の歌い出しで有名な童謡「鬼のパンツ」は、イタリア歌曲「フニクリ フニクラ」をベースとした子供向けのコミックソング。
鬼のパンツは いいパンツ
つよいぞ つよいぞトラの毛皮で できている
つよいぞ つよいぞ5年はいても やぶれない
つよいぞ つよいぞ10年はいても やぶれない
つよいぞ つよいぞはこう はこう 鬼のパンツ
はこう はこう 鬼のパンツあなたも あなたも あなたも あなたも
みんなではこう 鬼のパンツ
歌詞の内容は、丈夫な鬼のパンツをみんなで履こうと繰り返し呼びかけるもので、原曲のイタリア歌曲とはまったく関係がない。
一体誰がこんなユーモラスな歌詞をつけたのか気になるところだが、JASRAC(日本著作権協会)のデータベースでは「作詞者不詳」となっている。
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