女子十二楽坊と二胡

二胡や揚琴を巧みに操る古楽器ユニット 女子十二楽坊を振り返る

2003年から数年間、中国の古楽器を巧みに操る女性音楽ユニット、女子十二楽坊(じょしじゅうにがくぼう)が日本で人気を博した。NHK紅白歌合戦にも出場を果たし、彼女らが奏でる二胡の旋律がテレビやラジオから何度も流れた。

女子十二楽坊は十数名の中国人女性奏者からなる音楽グループで、二胡や揚琴(ようきん)などの笛、琵琶、古筝(こそう)など、現代に伝わる中国の古楽器奏者が楽曲にふんだんに取り入れられている。

上ジャケットは、2010年にリリースされた女子十二楽坊リマスタリング高音質ベスト盤。代表曲『自由』を始め、『世界に一つだけの花』、『地上の星』などの日本のヒット曲カバーも多数収録。

【YouTube】女子十二楽坊の代名詞的ヒット曲 『自由』

中央音楽学院トップクラスの奏者たち

奏者の多くは北京にある音楽大学「中央音楽学院」に在籍または卒業し、二胡コンクールや二胡コンテストで上位入賞を果たしたトップクラスの実力の持ち主たち。人数的にはメイン楽器の二胡と揚琴のメンバーが充実している。

デビューは2001年の中国。巨額の宣伝費も功を奏し、女子十二楽坊は瞬く間に人気音楽ユニットとなった。2003年には日本に進出し、日本でのCDアルバムは160万枚以上のセールスを記録した。

そして同年のNHK紅白歌合戦出場、翌年の2004年には武道館コンサートと日本全国ツアーを果たすなど、女子十二楽坊の快進撃は数年にわたって続いた。

全米デビューとレコード会社の破産

日本での全国ツアー後、女子十二楽坊は2004年8月にアルバム「Eastern Energy」で全米デビューすると、ビルボードのワールド・ミュージックチャートで11週連続1位を獲得するヒットとなり、グラミー賞各部門にもノミネートされた(受賞ならず)。

順風満帆に見えた女子十二楽坊に意外な落とし穴も。2007年7月、レコード会社ミューチャー・コミュニケーションズが資金繰りの悪化で自己破産手続きを申請。負債総額は約3億4000万円。さらには、同年5月に著作権法違反で南京のプロモーターに損害賠償を命じる判決が出されるなど、女子十二楽坊を取り巻く環境に不穏な空気が流れ始めた。

破産した元のレコード会社に代わって海外の興行会社がコンサートやファンクラブ運営などを引き継ぎ、女子十二楽坊の活動は中国・韓国を中心に継続されることとなった。日本で発売されるCDアルバムについては、EMIやユニバーサルミュージック系列の国内レコード会社からリリースされている。

その後、女子十二楽坊はメンバーの入れ替えを行い、2009年以降も中国を中心に活動を続けている。卒業したメンバーの一部は新ユニットを結成するなど女子十二楽坊とは別の枠組みでも音楽活動に取り組んでいるようだ。