水戸黄門 主題歌『あゝ人生に涙あり』

人生楽ありゃ苦もあるさ 涙の後には虹も出る

人生楽ありゃ苦もあるさ」が歌い出しの『あゝ人生に涙あり』は、国民的テレビ時代劇水戸黄門」のオープニングで流れる主題歌。

歴代歌手には、助さん格さん役で出演した里見浩太朗、あおい輝彦、伊吹吾郎のほか、橋幸夫・舟木一夫・西郷輝彦の元祖・御三家も歌手を務めている。

ジャケット写真:水戸黄門 サウンドトラック2

作詞は、同じくテレビ時代劇「江戸を斬る」主題歌『ねがい』(歌:西郷輝彦)や、『翼をください』、『ガンダーラ』などを手掛けた山上路夫(やまがみ みちお/1936-)。』

作曲は、映画「二十四の瞳」、「伊豆の踊子」、「トラック野郎」シリーズなど、数多くの映画音楽で知られる木下 忠司(きのした ちゅうじ/1916-2018)。「水戸黄門」サウンドトラックも担当している。

【YouTube】水戸黄門 オープニング 里見浩太朗 伊吹吾朗

歌詞は4番まであった?!

水戸黄門」主題歌『あゝ人生に涙あり』の歌詞には、「幻の4番」と呼ばれる4番目の歌詞が存在する。

作詞:山上路夫による『あゝ人生に涙あり』の歌詞を「幻の4番」を含めて次のとおり引用し、その内容を確認してみよう。

1.
人生楽ありゃ苦もあるさ
涙のあとには虹も出る
歩いてゆくんだしっかりと
自分の道をふみしめて

2.
人生勇気が必要だ
くじけりゃ誰かが先に行く
あとからきたのに追い越され
泣くのがいやならさあ歩け

3.
人生一つの物なのさ
後には戻れぬものなのさ
明日の日の出をいつの日も
目指して行こう顔上げて

4.
人生涙と笑顔あり
そんなに悪くはないもんだ
なんにもしないで生きるより
何かを求めて生きようよ

現代における『あゝ人生に涙あり』の歌詞では、この歌詞の4番が3番として歌われていることになる。そしてオリジナルの3番は、現在では歌われなくなってしまった。「幻の4番」ではなく「幻の3番」というべきなのかもしれない。

ラヴェル『ボレロ』に似てる?

「水戸黄門の主題歌は、ラヴェル作曲『ボレロ』に似ている。」

ネットで水戸黄門を検索すると、こんな話をよく見かける。

『ボレロ(Bolero)』は、フランスの作曲家モーリス・ラヴェルが1928年に初演した楽曲。同じリズムが最初から最後まで延々と繰り返されるという点で、確かに水戸黄門の主題歌との類似性を見出すことができる。

【YouTube】ラヴェル作曲『ボレロ』

ボレロ』と水戸黄門の主題歌との関係について、ウィキペディアの解説では「リズムはボレロを採用した」と断言されていた。

しかし、それが作曲者である木下忠司が公式に発表した事実なのかどうかは不明。

そもそも、ラヴェル作曲『ボレロ』は4分の3拍子であり、4拍子である水戸黄門の主題歌とはリズムが異なる。「リズムはボレロを採用した」と言い切るには多少違和感がある。

ただ、両曲を知っている人が水戸黄門の主題歌を聞いた場合、ふと『ボレロ』が脳裏をよぎることは確かにありそうだ。ここは素直に「他人の空似」を楽しんでしまうのがよいだろう。

歌詞は三百六十五歩のマーチ?

1969年8月4日に「ナショナル劇場」枠で放送開始されたテレビドラマ「水戸黄門」。

その10か月ほど前の1968年11月10日、演歌歌手・水前寺 清子(すいぜんじ きよこ)最大のヒット曲『三百六十五歩のマーチ』がリリースされていた。歌い出しは「しあわせは歩いてこない だから歩いてゆくんだね」。

その歌詞を見ると、「人生」、「歩いてゆく」、「べそかき」、「虹」など、水戸黄門の主題歌の歌詞に影響を与えたと思われるいくつかの単語やフレーズを見出すことができる。

『どんぐりころころ』で歌える!

余談だが、水戸黄門の主題歌は、日本の童謡『どんぐりころころ』の歌詞に差し替えて歌うことができる。かつてテレビ番組「伊東家の食卓」や「笑っていいとも!」などで紹介されていたのでご存知の方も多いだろう。

これは、『どんぐりころころ』の歌詞が、早口言葉の「生麦 生米 生卵」(なまむぎ なまごめ なまたまご)のように、「4音+4音+5音」の七五調(八五調)で構成されていることに由来している。

勘の良い方はもうお気づきだと思われるが、『どんぐりころころ』の歌詞が七五調(八五調)だから替え歌が出来るのであれば、それ以外の七五調の歌でも、水戸黄門の主題歌と差し替えて歌うことができるはずである。

七五調で有名な童謡と言えば、『夕焼け小焼け』、『うさぎとかめ(もしもしかめよ)』、『赤とんぼ』などが挙げられる。

他にも、瀧廉太郎『荒城の月』や、テレビアニメ「まんが日本昔ばなし」オープニング主題歌『にっぽん昔ばなし』、チェッカーズ『ギザギザハートの子守唄』、阪神タイガース応援歌『六甲おろし』など、七五調の歌は数多く存在する。

どんぐりころころ』のように必ずしもピッタリ当てはまるものばかりではないが、ある程度は水戸黄門の主題歌のメロディに乗せて歌えることが分かるだろう。

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