イギリス国歌 God Save the King 歌詞と和訳
女王エリザベス2世から新国王チャールズ3世の時代へ
『God Save the King』(ゴッド・セイヴ・ザ・キング)は、イギリスやコモンウェルス(連邦王国)諸国における事実上のイギリス国歌。
邦題は、『国王陛下万歳』(こくおうへいかばんざい)または『神よ国王を守り給え』。現在のイギリス国王はチャールズ3世(在位:2022/9/8 - )。
女王が在位している場合は曲名と歌詞が一部変更される。2022年9月8日に死去した女王エリザベス2世の時代には、『God Save the Queen』(ゴッド・セイヴ・ザ・クィーン)として歌われていたことは記憶に新しい。
写真:ウェストミンスター宮殿(出典:Wikipedia)
エリザベス2世の国葬は、2022年9月19日11時より、ロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われる。国葬までの数日間、エリザベス2世の棺はウェストミンスター宮殿に安置され、一般市民の弔問を受け付けている。
ちなみに、小中学校の授業開始や終了時に鳴るチャイムの音は、このウェストミンスター宮殿の鐘の音が元になっている。なんと英語の歌詞もある。
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『God Save the King』歌詞と和訳
イギリス国歌の歌詞は歴史的には6番まで存在するが、現代のイギリスにおける公式行事で歌われるのは1節及び3節のみ。
イギリス国内のイベントでは1節及び2節が歌われることもある。4番以降は今日では歌われない。
写真:イギリス国王チャールズ3世(出典:Wikipedia)
1.
God save our gracious King,
Long live our noble King,
God save the King:
Send him victorious,
Happy and glorious,
Long to reign over us;
God save the King.
神よ我らが慈悲深き
国王を守りたまえ
我等が高貴なる国王の永らえんことを
神よ我らが国王を守りたまえ
勝利、幸福そして栄光を捧げよ
御代の永らえんことを
神よ我らが国王を守りたまえ
2.
O Lord, our God arise,
Scatter his enemies,
And make them fall:
Confound their knavish tricks,
On Thee our hopes we fix:
God save us all.
おお主よ、我等が神は立ち上がり
敵を蹴散らし、潰走させ、
姑息な罠をも打ち破りたもうた
我等の望みは汝にあり
神よ我らを守りたまえ
3.
Thy choicest gifts in store,
On him be pleased to pour;
Long may he reign:
May he defend our laws,
And ever give us cause
To sing with heart and voice
God save the King.
国王に注がれし天賦の才能
御代の永らえんことを
我等の原理を擁護し
我等に大義を与えたまえ
心を込めて謳わん
神よ我らが国王を守りたまえ
4.
Not in this land alone,
But be God's mercies known,
From shore to shore!
Lord make the nations see,
That men should brothers be,
And form one family,
The wide world over.
我が国のみならず
神の御慈悲は陸を渡り
主は世界中の国々に知らしめる
人類は一つの兄弟であり
家族であるべきことを
5.
From every latent foe,
From the assasins blow,
God save the King!
O'er his thine arm extend,
For Britain's sake defend,
Our father, prince, and friend,
God save the King!
伏兵や暗殺者らの手から
神よ我らが国王を守りたまえ
国家のため、汝の御手により
我等が父、君主、そして友
神よ我らが国王を守りたまえ
6.
Lord grant that Marshal Wade
May by thy mighty aid
Victory bring.
May he sedition hush,
And like a torrent rush,
Rebellious Scots to crush.
God save the King!
ウェイド元帥の勝利が
主の強大なる助力によりもたらされんことを
彼が反乱を鎮めんことを願わん
激流の如きスコットランドの反乱を打ち破らん
神よ我等が国王を救いたまえ!
『God Save the Queen』 歌詞と和訳
写真:女王エリザベス2世(在位:1952/2/6 - 2022/9/8)出典:Wikipedia
1.
God save our gracious Queen,
Long live our noble Queen,
God save the Queen:
Send her victorious,
Happy and glorious,
Long to reign over us;
God save the Queen.
神よ我らが慈悲深き
女王を守りたまえ
我等が高貴なる女王の永らえんことを
神よ我らが女王を守りたまえ
勝利・幸福そして栄光を捧げよ
御代の永らえんことを
神よ我らが女王を守りたまえ
2.
O Lord our God arise,
Scatter her enemies,
And make them fall:
Confound their knavish tricks,
On thee our hopes we fix:
God save us all.
おお主よ、我等が神は立ち上がり
敵を蹴散らし、潰走させ、
姑息な罠をも打ち破りたもうた
我等の望みは汝にあり
神よ我らを守りたまえ
3.
Thy choicest gifts in store,
On her be pleased to pour;
Long may she reign:
May she defend our laws,
And ever give us cause
To sing with heart and voice
God save the Queen.
女王に注がれし天賦の才能
御代の永らえんことを
我等の原理を擁護し
我等に大義を与えたまえ
心を込めて謳わん
神よ我らが女王を守りたまえ
4.
Not in this land alone,
But be God's mercies known,
From shore to shore!
Lord make the nations see,
That men should brothers be,
And form one family,
The wide world over.
我が国のみならず
神の御慈悲は陸を渡り
主は世界中の国々に知らしめる
人類は一つの兄弟であり
家族であるべきことを
5.
From every latent foe,
From the assasins blow,
God save the Queen!
O'er her thine arm extend,
For Britain's sake defend,
Our mother, princess, and friend,
God save the Queen!
伏兵や暗殺者らの手から
神よ我らが女王を守りたまえ
国家のため、汝の御手により
我等が母、王妃そして友
神よ我らが女王を守りたまえ
6.
Lord grant that Marshal Wade
May by thy mighty aid
Victory bring.
May he sedition hush,
And like a torrent rush,
Rebellious Scots to crush.
God save the Queen!
ウェイド元帥の勝利が
主の強大なる助力によりもたらされんことを
彼が反乱を鎮めんことを願わん
激流の如きスコットランドの反乱を打ち破らん
神よ我等が女王を救いたまえ!
イギリス第2の国歌
- I Vow To Thee, My Country 祖国よ 我は汝に誓う
- ホルスト『木星 ジュピター』のメロディが用いられたイングランド愛唱歌
- 希望と栄光の国 エルガー『威風堂々』より
- エルガー「威風堂々」中間部のメロディがイギリス愛国歌に
- Jerusalem エルサレム
- イギリスの詩人ウィリアム・ブレイクの長詩「ミルトン Milton」より
- Rule, Britannia! ルール・ブリタニア
- ロンドンで毎年夏に開催されるクラシック音楽コンサート「BBCプロムス」の最終夜に演奏される
同じメロディだったアメリカ国歌
イギリスから1776年に独立を果たしたアメリカは、現在の国歌『星条旗』が法制化される1931年までの一時期、イギリス国歌と同じメロディのアンセム『My Country, 'Tis of Thee』が事実上の国歌として定着していた。
アメリカだけではなく、ドイツ帝国、プロイセン、ロシア帝国、リヒテンシュタインなども、イギリス国歌のメロディに独自の歌詞をつけて自国の国歌として採用していた時期が見られた。
例えば、ドイツ帝国、プロイセンは『Heil dir im Siegerkranz』(皇帝陛下万歳)のタイトルで、特に皇帝ヴィルヘルム2世の治世に広められたという。ただ、メロディがイギリス国歌のものだったため人気はイマイチだったという。現在のドイツ国歌は『ドイツの歌』。
ロシア帝国では、1815年から1833年にかけて、『神よツァーリを護り給え』(ツァーリは君主・王の意)のタイトルで、イギリス国歌のメロディが用いられた。その後は公募による別の歌詞とメロディが採用された。
作曲者は誰?ルーツは?
イギリス国歌の作曲者・メロディのルーツについては、決定的な証拠は見つかっておらず、諸説入り乱れており今なお判明していない。
17世紀イングランドの賛美歌・聖歌『Remember, O Thou Man 忘れるな、ああ人々よ』をルーツとして考える説も見られる。
今日知られているメロディに最も近いアレンジを行った編曲者は、イギリスの愛国歌『ルール・ブリタニア』の作曲者として著名な音楽家トマス・アーン(Thomas Augustine Arne/1710–1778)。
トマス・アーンが編曲を行ったのは1745年頃。同年9月にドルリー・レーン王立劇場で公式の初演が行われ、以後ロンドン中に広まっていったという。
更迭されたウェイド元帥
トマス・アーンの編曲によるイギリス国歌が初演された当時は、イングランドがスコットランドのジャコバイトと争っていた時期で、ジャコバイトの南下によりロンドンは度々脅かされていた。
イギリス国歌の歌詞にも登場するウェイド元帥、すなわち陸軍元帥ジョージ・ウェイド(George Wade /1673-1748)は、イギリス軍最高司令官としてジャコバイト蜂起の鎮圧に臨んだが、ジャコバイト軍に打撃を与えられず、ウェイドは更迭されてしまった。
イギリス国歌6節の歌詞は、ウェイドが更迭される前に作詞されたものと考えられる。
挿絵:カロデンの戦い(1746年/左がジャコバイト)
代わって最高司令官に就任したカンバーランド公ウィリアム・オーガスタスは、1746年4月のカロデンの戦いでジャコバイト軍を撃破。
大勝利でイングランドへ凱旋するカンバーランド公を讃えるため、ヘンデルはオラトリオ「ユダス・マカベウス」を作曲。
その一曲『見よ勇者は帰る』は、現代の日本において、大相撲で優勝した力士や高校野球の優勝チームを讃える表彰式のBGMとして耳にすることができる。
ちなみに、ビートルズの楽曲『マイボニー(My Bonnie)』の「ボニー」とは、カロデンの戦いでスコットランド軍を率いたボニー・プリンス・チャーリーのことである。
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- スコットランドのフォークグループ「The Corries(ザ・コリーズ)」による楽曲
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