ケベック州とフランス カナダ
フランス人によるフランス語の州 ケベック
イギリスとの植民地戦争に敗れて以来、フランス領ケベックはイギリスの支配を受け入れ、イギリス連邦王国に属する自治領として発展を続けてきた。
しかし、無論すべてを受け入れたわけではなく、むしろ絶対に忘れてはならないフランス系の誇りを心の中で今も強く燃やし続けている。
ケベック州旗はフランス王家の紋章
ケベック州の旗(Flag of Quebec)は、フランス王家の紋章フルール・ド・リス(fleur-de-lis)」に由来するユリの花の紋章が配されており、フランスの影響を強く受けたデザインとなっている。
カナダで州旗を制定したのはケベック州が初めてであり、「ケベックの旗(National Flag of Quebec)」として初めて1948年1月21日にケベック州議会議事堂前に掲揚された。
ジュ・ム・スヴィアン 私は忘れない
下の写真は、ケベック州で発行される自動車のナンバープレート。1978年以降、プレート上に「Je me souviens ジュ・ム・スヴィアン(私は忘れない)」の文字が記されるようになった。
「Je me souviens ジュ・ム・スヴィアン」は、ケベック州における公式のモットー。古くは1883年にケベック州議事堂正面玄関上の石部分にこのモットーが刻まれた(現在も残されている)。
未開のケベックを開拓し、イギリス支配にも屈せず、フランス文化を今日まで伝え守ってきた先人達への畏敬の念と、後世に伝えるべきその誇り・気概・アイデンティティを守ろうとする強い思いが、この「Je me souviens ジュ・ム・スヴィアン」には込められているように感じられる(解釈には諸説あり)。
カナダからの分離独立志向がくすぶり続けるケベック州では、独立を巡って過去に2回住民投票が行われている(1980・1995)。いずれも否決されたものの、1回目の投票は独立反対の割合が約60%、2回目には約50.6%と、賛成派が増加傾向にあるようだ。
1982年にはイギリス議会によりカナダ新憲法が制定されたが、現在もケベック州のみが批准していない。また、ケベ ック州議事堂にはケベック州の旗のみが掲げられ、カナダ国旗は掲揚されていない。公用語もカナダで唯一フランス語のみが公式に使用されている。
写真:ケベック州議会議事堂(ケベック州旗が掲げられている)
2012年現在、ケベック州はカナダの一州であるが、その政治的地位は今日においても微妙な状況に置かれており、今後の政治的動向次第では、何らかの大きな動きが起こる可能性は否定できない。
「Je me souviens ジュ・ム・スヴィアン」
彼らはまだ、彼らの誇りを忘れてはいないのだ。
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