バイヨン ブラジルのダンス音楽・リズム
サンバと同じブラジル北東部発祥の民族音楽
『バイヨン Baião』は、1950年代に世界的に流行したブラジルのダンス音楽・リズム。元々はブラジル北東部発祥の民族音楽だという。
カタカナ表記としては「バイアゥン」、「バイオーン」など表記ゆれが見られるが、『バイヨン Baião』と同じものを指している。
写真は、ブラジル北東部バイーア州(バイア州)の港湾都市サルヴァドール(Salvador)の街並み(出典:Wikipedia)。バイーア州は『バイヨン Baião』発祥の地とされる。なお、サルヴァドールはサンバ発祥の地と考えられている。
【YouTube】Luiz Gonzaga -- Baião - Oficial
火付け役はルイス・ ゴンザーガ
現代的なブラジル音楽として世界的なブームの火付け役になったのは、ブラジル出身のアコーディオン奏者ルイス・ ゴンザーガ(Luiz Gonzaga/1912‐1989)。
1940年代後半に『バイヨン Baião』のリズムを取り入れた新たなブラジル音楽で一世を風靡し、その後の世界的なバイヨン・ブームを作り出していった。
世界のバイヨン・ブーム
ブラジルの作曲家ヴァルジール・アゼヴェード(Waldyr Azevedo/1923-1980)が作曲したバイヨン系の楽曲『デリカード Delicado』を、1952年にアメリカのパーシー・ フェース楽団(Percy Faith)がカバーしヒット。
1953年のブラジル映画 『野性の男 O Cangaceiro』では、バイヨンにアレンジしたブラジル北東部の民謡を主題歌に採用し、同年のカンヌ映画祭で音楽賞を受賞している。
【YouTube】デリカード Delicado パーシー・ フェース
日本でのバイヨン・ブーム
日本では、元・宝塚歌劇団の歌手・生田 恵子(いくた けいこ/1928-1995)が、1950年代前半に「バイヨン」を取り入れた「バイヨン踊り」をヒットさせ、「バイヨンの女王」として人気を博した。
美空ひばりも『陽気なバイヨン』をリリースしたが、こちらはあまり人気が出なかったようだ(メロディもバイヨンらしさはあまり感じられない作品)。
ちなみに、氷川きよしが2010年8月にリリースした『虹色のバイヨン』という楽曲については、バイヨン風というよりも、どちらかといえばアラビア風・トルコ風寄りのアレンジが強いように感じられる。しかも「バイバイ バイヨン」という駄洒落入り。
「手のひらを太陽に」もバイヨンだった?
1960年代にテレビ放送された童謡『手のひらを太陽に』は、最初期のバージョンはなんとバイヨン・アレンジで製作された曲だったそうだ。
一体バイヨン版『手のひらを太陽に』とはどんな印象の曲だったのか?今となっては確かめようがないが、バイヨン版の存在が事実だとすれば、非常に興味深い話だ。
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