交響曲第5番(ショスタコーヴィチ)

スターリンの大粛清から辛うじて逃れた革命交響曲

『交響曲第5番ニ短調』作品47は、ソ連の作曲家ショスタコーヴィチによる1937年初演の交響曲。作曲者による命名ではないが、「革命」の副題で知られている。

当時、スターリンの大粛清によってショスタコーヴィチの友人・親類たちが次々に逮捕・処刑されていった。

ショスタコーヴィチ自身も、スターリンの意向を受けたソビエト共産党の機関紙「プラウダ」から厳しい批判(いわゆる「プラウダ批判」)にさらされており、体制への反逆者としていつ逮捕されても不思議ではない状況下にあった。

【YouTube】ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 第4楽章

初演は大成功 体制側も絶賛

ソビエト共産党からの信頼を回復するべく、ショスタコーヴィチは前衛的で複雑な交響曲第4番を封印し、革命20周年という記念すべき1937年に合わせるかのように、古典的で単純明瞭な構成の『交響曲第5番ニ短調』を完成させた。

1937年11月21日、革命20周年のレニングラード(現サンクトペテルブルク)で初演された『交響曲第5番ニ短調』は大成功を収め、フィナーレには猛烈なスタンディングオベーションを受け観客から絶賛された。

あまりの観客の熱狂ぶりに、体制への抗議活動と見なされることを恐れた関係者は機転を効かせ、ショスタコーヴィチを裏口から脱出させるというハプニングも発生したという。

だがそれは杞憂だったようで、体制側もこの『交響曲第5番ニ短調』を歓迎し、ソ連作家同盟議長アレクセイ・トルストイの論文で同曲は絶賛を受けた。

テレビドラマ「部長刑事」オープニングテーマ曲

関西の朝日放送で1958年から1990年まで放送されていた関西ローカルの刑事ドラマシリーズ「部長刑事(ぶちょうけいじ)」では、『交響曲第5番ニ短調』第4楽章の冒頭部分がオープニングテーマとして30年以上使われていた。

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