ある晴れた日に 歌詞の意味・和訳
長崎が舞台のオペラ『蝶々夫人』 アメリカ人の夫を待つ悲劇のヒロイン
『ある晴れた日に』(Un bel dì,vedremo/ウン・ベル・ディ・ヴェドゥレモ)は、プッチーニ作曲の歌劇『蝶々夫人』(ちょうちょうふじん)劇中歌。1904年初演。
同歌劇を代表する有名なアリアで、単独で歌われることも多い。伝説のソプラノ歌手マリア・カラス(Maria Callas/1923-1977)の十八番として、彼女のベスト盤の多くにこのアリアが収められている。
歌劇『蝶々夫人』(英題:Madama Butterfly/マダム・バタフライ)は、1904年の長崎が舞台。没落藩士令嬢の「蝶々さん」と、アメリカ海軍士官ピンカートンとの恋愛の悲劇が描かれる。
蝶々さんと結婚したピンカートンだったが、日本での任務が終わるとアメリカへ帰ってしまった。
彼は蝶々さんに「コマドリが巣を作る頃には帰ってくる」と約束していたが、女中のスズキは、彼はもう日本に帰ってこないのではないかと疑っていた。
アリア『ある晴れた日に』では、「そんなことはない、きっと夫は帰ってくる」と気丈にふるまう蝶々さんの切ない心情が描写されている。
写真:歌劇『蝶々夫人』ポスター(出典:Wikipedia)
【YouTube】ある晴れた日に 歌劇『蝶々夫人』より
歌詞の意味・和訳(意訳)
Un bel dì,vedremo
levarsi un fil di fumo
sull'estremo confin del mare.
E poi la nave appare.
Poi la nave bianca
entra nel porto,
romba il suo saluto.
ある晴れた日
遠い海の彼方に
ひとすじの煙が立ち上り
船が現れる
白い船は港に入り
礼砲を鳴らす
Vedi? È venuto!
Io non gli scendo incontro. Io no.
Mi metto là sul ciglio
del colle e aspetto, e aspetto
gran tempo e non mi pesa
la lunga attesa.
見える?彼が来るわ!
でも私は迎えにいかない
あの丘のふもとで
あの人を待つ 長いこと
どんなに長くても辛くないわ
E ... uscito dalla folla cittadina
un uomo, un picciol punto
s'avvia per la collina.
やがて町の人混みの中から
一人の男が 小さい点のような人影が
丘の方へやってくる
Chi sarà? Chi sarà?
E come sarà giunto
che dirà? Che dirà?
Chiamerà "Butterfly" dalla lontana.
あれは誰かしら?
ここへ来たら何て言うかしら?
彼は遠くから「蝶々さん」って言うわ
Io senza dar risposta
me ne starò nascosta
un po' per celia...
e un po' per non morire al primo incontro,
ed egli alquanto in pena
chiamerà, chiamerà:
私は返事をせずに隠れるの
半分は冗談で… もう半分は
会えた嬉しさで死んでしまわないように
すると彼は少し心配になって叫ぶの
"Piccina mogliettina, olezzo di verbena,"
i nomi che mi dava al suo venire.
「可愛い妻よ、バーベナの香りの」
昔からそう呼ばれてたから
Tutto questo avverrà,
te lo prometto
Tienti la tua paura
Io con sicura fede l'aspetto.
(注:女中に対するセリフ)
きっとそうなるわ
あなたに約束できる
だから不安にならないで
私は信じて彼を待つわ
バーベナの花
『ある晴れた日に』の歌詞に登場する「バーベナ」とは、クマツヅラ科クマツヅラ属(バーベナ属)の総称。ヴァーベナ、ビジョザクラ(美女桜)とも呼ばれる。
約250種の一年草および多年草で、主にアメリカ大陸の熱帯から温帯地方に分布する。日本ではヤナギハナガサ(サンジャクバーベナ)、アレチハナガサ、クマツヅラなどが野生化している。
写真:Verbena peruviana(出典:Wikipedia)
マリア・カラス ベスト盤
『ある晴れた日に』を収録したマリア・カラスのベスト盤。すべてリマスター音源。アビー・ロード・スタジオのエンジニアの手によるアナログ・マスター・テープからリマスター。
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